【社労士監修】知的障害で障害年金はもらえる?IQだけでは決まらない認定基準と受給ポイントを解説

【結論】知的障害(精神遅滞)は、IQ(知能指数)の数値だけでなく「日常生活の支障の程度」によって障害年金の受給が決まります。

「IQが70前後だから」「フルタイムで働いているから」という理由だけで申請を諦める必要はありません。身の回りのこと(食事・清掃・金銭管理など)にどの程度の援助が必要か、職場での配慮がどうなされているかを適切に書類で証明できれば、障害基礎年金2級以上に認定される可能性は十分にあります。

この記事が向いている方

✅ 知的障害があるお子様を持ち、20歳前後の申請を検討しているご家族
✅ 知的障害がありながら就労中だが、生活や将来に不安を感じている方
✅ IQが70前後(境界知能〜軽度)で受給できるか知りたい方
✅ 診断書を医師に依頼する際の「伝え方」のコツを知りたい方

この記事の目次

  • 【結論】知的障害(精神遅滞)でも障害年金は受給可能です
  • 知的障害の重症度と日常生活の特徴(IQの目安)
  • 障害年金の認定基準|1級・2級・3級の判定ポイント
  • 知的障害の申請が他の病気と違う「大きなメリット」
  • 【重要】IQが高め(IQ70前後)でも受給できる可能性がある理由
  • 働きながらでも受給できる?審査に影響する「職場での配慮」
  • 診断書作成で失敗しないための「医師への伝え方」
  • 当センター(横浜・川崎)による知的障害の受給事例
  • よくある質問(FAQ)
  • まとめ|知的障害の申請は「日常生活の実態」を正しく伝えることが重要

知的障害の重症度と日常生活の特徴(IQの目安)

知的障害の重症度は、IQ(知能指数)の数値と、社会への適応能力によって分類されます。

分類 IQの目安 日常生活の特徴
軽度 約50〜70
支援があれば身の回りのことはできるが、計画的な行動や金銭管理が苦手。
中等度 約36〜49
単純な意思疎通は可能だが、日常生活の多くの場面で常時支援が必要。
重度 約20〜35
言語による意思疎通が困難で、食事や入浴、着替えなど全般に介助が必要。
最重度 約19以下
常時の介護なしには生命の維持・生活が極めて困難な状態。

👉 障害年金の審査では、このIQ値に加えて「日常生活能力」が厳しく評価されます。

知的障害の申請が他の病気と違う「大きなメリット」

知的障害での申請には、他の精神疾患(うつ病や発達障害など)にはない大きな利点があります。

それは、「初診日の証明(受診状況等証明書)」が原則不要であることです。 知的障害は「出生時」が初診日として扱われるため、当時の病院を探したり、古いカルテを取り寄せたりする苦労がありません。

👉 療育手帳の写しなどを提出することで、スムーズに手続きを進めることができます。

【重要】IQが高め(IQ70前後)でも受給できる可能性がある理由

IQ70前後でも、日常生活に援助が必要なら認定される可能性があります。 障害年金の認定要領には、「知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する」と明記されています。

以下のような実態があれば、IQが高めでも認定の可能性があります。

  • 善悪の判断がつかず、消費者被害(騙される)に遭いやすい
  • 感情のコントロールが難しく、パニックを起こしやすい
  • 複雑な指示が理解できず、社会的なルールを守るのが難しい

働きながらでも受給できる?審査に影響する「職場での配慮」

結論として、一般企業で働いていても受給できる可能性は十分にあります。 ただし、審査官に「働けている=能力が高い」と誤解されないよう、「どのようなサポートを受けて働けているか」を証明することが不可欠です。

  • 障害者雇用や特例子会社での勤務
  • 作業指示の簡略化や、写真付きマニュアルの用意
  • ジョブコーチや支援員による定期的な介入
  • 休憩時間の延長や、突発的な欠勤への配慮

👉 「援助があるからようやく働けている」という実態を書類に反映させることが重要です。

診断書作成で失敗しないための「医師への伝え方」

知的障害の方は、申請のために「初めて受診した医師」に診断書を依頼することが多く、ここが最大の失敗ポイントになります。

短時間の診察では、医師に「普段の苦労」が伝わりません。不支給を避けるため、以下の7項目(日常生活能力)についてのメモを用意し、医師に渡しましょう。

  1. 適切な食事(献立・栄養管理ができるか)
  2. 身辺の清潔保持(入浴・着替え・洗面ができるか)
  3. 金銭管理と買い物(計画的な出費ができるか)
  4. 通院と服薬(拒否せず適切にできるか)
  5. 他人との意思伝達(相手の意図を汲めるか)
  6. 身のまわりの安全保持(危険回避ができるか)
  7. 社会性(公共施設の利用などができるか)

当センター(横浜・川崎)による知的障害の受給事例

当センターでサポートした知的障害の受給事例をご紹介します。

【事例①】

軽度知的障害で継続した支援が必要な状況で障害基礎年金2級を取得、年額82万円を受給できたケース

事例②

20歳当時には受診していなかったものの、知的障害、自閉症スペクトラム障害で障害基礎年金2級を取得、年額82万円、遡及で48万円を受給できたケース

知的障害の受給事例ページはこちら

よくある質問(FAQ)

Q. 療育手帳を持っていないと申請できませんか?

A. いいえ、申請可能です。 療育手帳と障害年金は別の制度です。手帳を持っていなくても、現在の知能検査や日常生活能力が認定基準を満たしていれば受給できます。

 

Q. 20歳を過ぎてから初めて診断を受けました。遡ってもらえますか?

A. はい、遡及(そきゅう)請求ができる可能性があります。 20歳時点での診断書などが残っていれば、最大5年分まで遡って受給できる場合があります。ただし、当時の証拠資料が必要ですので専門家へご相談ください。

 

Q. 親が元気なうちは大丈夫ですが、将来のために今から申請すべきですか?

A. はい、早めの申請を強くお勧めします。 障害年金は「今」だけでなく「将来」の生活を支える権利です。親御様がサポートできているうちに、公的な支援の基盤を作っておくことが、お子様の「親なき後」の安心に繋がります。

 

Q. 判定に納得がいかない場合、やり直しはできますか?

A. はい、可能です。 不支給になったり等級が低すぎたりした場合は、「審査請求(不服申し立て)」や「再請求」という手続きがあります。不支給通知が届いてから3ヶ月以内であれば対応可能です。

まとめ|知的障害の申請は「日常生活の実態」を正しく伝えることが重要

  • 知的障害はIQの数値だけでなく「適応能力」で総合判断される
  • 初診日の証明が不要なため、他の病気より申請のハードルが低い
  • 「働いている=不支給」ではない。職場での配慮内容の証明が鍵
  • 診察時間の短さをカバーするため、家庭での困難をまとめたメモが必須

知的障害の申請は、ご本人が「できないこと」をいかに客観的・具体的に書類に落とし込めるかが分かれ道です。

ご相談について

知的障害のお子様の将来に不安を感じているご家族の方、就労中で申請を迷っている方へ。当センターは、ご家族の想いに寄り添い、お子様の自立した生活を経済的に支えるためのお手伝いをします。

状況に応じた具体的な進め方については、無料相談で個別にご案内しています。

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    社会保険労務士 遠藤 隆
    社会保険労務士 遠藤 隆
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