初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)が支給されます。
受給には以下の要件があります。
- 初診日に厚生年金に加入している
原則として、初診日時点において厚生年金保険に加入している必要があります。つまり、民間の会社やお店などに勤めている間に初めて受診した病気やケガが対象となります。
- 初診日から5年を経過するまでの間に、傷病が治った(治療の効果が期待できなくなった)こと
初診日から5年経過しても完治しない病気やケガについてはこの障害手当金は請求することができません。病気やケガが治った場合にのみ、請求することができます。
- 傷病が治癒した日において、障害等級3級より軽い障害状態にあること
障害手当金がもらえるかどうかは、治った状態次第で決まります。つまり、障害認定基準の障害手当金に該当する程度の症状かどうかということが判断基準となるわけです。
- 保険料納付要件を満たしていること
初診日の前々月まで年金加入期間(被保険者期間)のうち、滞納期間が3分の1未満ならば、障害手当金の請求ができます。
- 病気やケガが治ってから5年以内に請求すること
障害手当金についても、他の制度と同様に、自分自身で請求しないと受給することはできません。障害手当金の請求は5年の時効がありますので、注意しましょう。
金額は、年度毎に見直されますが、報酬比例の年金額(3級障害厚生年金額)の2年分となっています。
障害手当金(一時金)=(報酬比例の年金額×2)
また障害手当金と傷病手当金が重複した場合、傷病手当金は全額不支給になります。不支給となる期間は、障害手当金を受給しなかったと仮定した時に受給できた傷病手当金の金額が障害手当金の額に達するまでの期間となります。
障害手当金は症状固定の障害に対して支給されることになっているため、一度、障害手当金を受給してしまうとその後、障害の程度が障害「年金」に該当するほどに悪化しても、同一の障害について給付を受けることはできなくなってしまうので注意が必要です。
たとえば右の耳は障害等級表にも該当せず、左の耳が障害手当金に該当する程度であったとします。この場合、障害手当金を受給してしまうと、その後、不幸にして右の耳も悪化し、両耳で聴力を計った結果、障害年金を受給できるほどの状態であっても聴力障害として障害年金を受けることはできません。これが当初から障害「年金」ですと、その後、障害の程度が悪化した場合にはたとえば3級から2級へ改定請求をすることができます。
とは言え現実に障害等級1級~3級に該当するようであれば、障害手当金支給決定時の「傷病が治った」との認定が誤りだったとして、事後重症請求の要件を満たせば、障害手当金を全額返金し、障害手当金の支給決定を取消すことにより障害年金の請求が可能になります。