初診日とは、
年金に加入している間に、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を言い、具体的には以下の様に取り扱われています。
1 |
初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日) |
2 |
同一傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診断を受けた日 |
3 |
過去の傷病が治癒し同一傷病で再発している場合は、再発し医師等の診療を受けた日 |
4 |
傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日 |
5 |
じん肺症(じん肺結核を含む)については、じん肺と診断された日 |
6 |
障害に原因となった傷病の前に相当因果関係が認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日 |
7 |
先天性の知的障害(精神遅滞)は出生日 ※(1) |
8 |
先天性心疾患、網膜色素変性症などは、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日 |
9 |
先天性股関節脱臼は、完全脱臼したまま生育した場合は出生日が初診日、青年期以降になって変形性股関節症が発症した場合は、発症後に初めて診療を受けた日 |
※(1)知的障害は療育手帳の写しを初診証明に変えて請求することができます。
なお何らかの理由により(親が自分の子が障害者ということを認めない等)、
療育手帳が未発効でも診断書に先天性という事が書かれてあれば、初診の証明は不要です。
意外かもしれませんが、この初診日をさほど重要に感じていない方が多いです。
しかし初診日はとても重要です。
なぜなら、
- 初診日を特定できないと、保険料納付要件を満たしているかわからない。
- 初診日を特定できないと、どの年金制度に属していたかわからない。
- 初診日を特定できないと、障害認定日がいつなのかわからない。
この初診日の証明ができず、障害年金を受給できない方は意外といらっしゃいます。
カルテの法的保存期間は5年間ですが、初診日はそれよりもずっと前という方は結構いらっしゃいます。
”5年経ったらカルテを廃棄しなければならない”という訳ではないので、大きな病院は比較的カルテを長期間保存している場合が多いです。
しかし、”電子カルテに切り替えた時に処分した”ですとか、小さなクリニックですと”保管場所が無いので5年経ったから廃棄した”
ということも珍しくありません。
そのような場合、”最初の病院のカルテは残ってないから2番目の病院を初診日にして下さい”という相談者は結構いらっしゃいますが、そんな簡単なものではありません。
最初の問診で前医のことを話していらっしゃる方がほとんどですので、そこで受診状況等証明書をとっても前医が記載されていれば、「そこまで遡りなさい」ということになります。
ただ受診状況等証明書に前医での初診年月が書かれていれば、それはそれで有力な証拠になるのですが、単に「近所の精神科を受診」としか書かれていなければ、初診日が何時なのか、客観的な資料を揃える必要があります。
例えば、二十歳前障害ならば第三者証明を2通以上提出すれば初診の証明と認めてもらえますが、二十歳を超えた初診日の場合、それだけでは初診の証明にはならないのです。
ここの証明をどうするかが社労士の腕の見せ所となるのです。
なお、”前の疾病がなかったならば、後の疾病が起こらなかったであろう”と認められる場合を相当因果関係といいます。
一般的に、「前の疾病または負傷がなかったならば、後の疾病(通常、負傷は含まれない)が起こらなかったであろう」と認められる場合は、相当因果関係ありとみて、前後の傷病は同一傷病として取り扱われます。
具体的に例示されている相当因果関係は以下の表の通りです。
前の傷病名 |
後の疾病名(負傷は除く) |
糖尿病 |
糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性壊死、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症 |
糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎 |
慢性腎不全 |
肝炎 |
肝硬変 |
結核 |
化学療法の副作用による聴覚障害 |
輸血の必要な手術 |
手術による輸血での肝炎 |
ステロイド投薬(副作用) |
大腿骨骨頭無腐性壊死 |
事故または脳血管疾患 |
精神障害※高次脳機能障害など |
転移がん |
原発のがん |
肺疾患手術後 |
呼吸不全 |
転移性がん(初めてなった部分にかかるもの) |
原発と組織上一致または転位が確認 |
対して、以下の場合は相当因果関係なしとされています。
前の傷病名 |
後の疾病名 |
高血圧 |
脳内出血または脳梗塞 |
糖尿病 |
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近視 |
黄斑部変性、網膜剥離、視神経萎縮 |