最終更新日: 2025-12-01 社会保険労務士 遠藤 隆

人工肛門とは、手術によっておなかに新しく作られた便の排泄の出口のことを言います。
一方、新膀胱は小腸または大腸を一部切りとってつなぎ合わせ、尿をためるための袋(新膀胱)をつくり、左右の尿管と尿道につなぐ方法です。
ストーマをつくる必要がなく、尿道から尿が出せることが大きな特徴です。
また膀胱がんなどにより、膀胱を摘出すると、体外に尿を出すための尿路変更法という手術が必須となります。

代表的な術式として、
- 尿管皮膚瘻
- 回腸導管
- 回腸新膀胱造設術 があります。
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目次 |
障害年金の申請
人工肛門、新膀胱、尿路変更の認定要領は「その他の疾患による障害」に定められています。
(3) 人工肛門・新膀胱
ア 人工肛門又は新膀胱を造設したもの若しくは尿路変更術を施したものは、3級と認定する。
なお、次のものは、2級と認定する。
・人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの
・人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの
なお、全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断し、さらに上位等級に認定する。
イ 障害の程度を認定する時期は、次により取り扱う。
人工肛門を造設し又は尿路変更術を施した場合はそれらを行った日から起算して 6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とし、新膀胱を造設した場合はその日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
なお、(3)ア(ア)及び(イ)の場合に障害の程度を認定する時期は、次により取り扱う。
・人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合は、人工肛門を造設した日から起算して6月を経過した日又は新膀胱を造設した日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
・人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合は、それらを行った日のいずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超 える場合を除く。)とする。
・人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にある場合は、人工肛門を造設した日又は完全排尿障害状態に至った日のいずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
申請にあたっての注意点
- 手術で人工肛門を造設し又は尿路変更術を施した場合、それらを行った日から6か月を経過した日が、初診日から起算して1年 6 月以内であれば、その6か月経過した日が障害認定日になります。
一方、新膀胱の場合は、造設した日が初診日から起算して1年 6 月以内であれば、造設日が障害認定日になります。
従いまして初診日からすぐ手術という場合には、新膀胱であれば、すぐ認定日請求を行うことができますが、人工肛門や尿路変更術の場合、申請まで6か月待たなければなりません。
- 人工肛門や尿路変更術又は新膀胱を造設した場合、障害等級は3級ですので、初診日は厚生年金加入中でなければなりません。
初診日が自営業ですとか主婦であった場合、障害基礎年金になりますので、これだけでは障害年金の対象にはなりません。
ただし、特別支給の老齢厚生年金を受給中の方は、障害年金は不支給でも老齢年金の障害者特例の対象になりますので、老齢年金が増える可能性があります。
- 遡及請求を行う場合、障害認定日と請求日が1年以上離れていますと、認定日当時の診断書と請求日の診断書の2枚を取得する必要がありますが、これらの請求の場合、請求日の診断書1枚だけで遡及請求をすることができます。
- 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合や人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合と、
人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にある場合は、障害認定日の扱いが異なってきますので注意が必要です。
当事務所の人工肛門・新膀胱の受給事例
S状結腸癌により人工肛門造設と尿路変更施術で障害基礎年金2級を取得、年間100万円、遡及で484万円を受給できたケース
肝細胞癌転移による人工肛門設置術で障害厚生年金3級を取得、年額122万円、遡及で327万円を受給できたケース
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