植物状態とは、大脳が機能しなくなったものの、視床下部と脳幹(睡眠サイクル、体温、呼吸、血圧、心拍、意識などの生命維持に必要な機能を制御している脳の部位)はまだ機能し続けている状態のことをいいます。
1カ月以上続く植物状態は、医学的には遷延性植物状態とみなされます。遷延性植物状態の人のほとんどは、精神機能を回復したり、周囲の環境と意味のあるやりとりをできるようになったりすることはありません。

遷延性植物状態になった場合、障害等級1級に該当いたします。障害認定基準には以下のように書かれています。
遷延性植物状態については、次により取り扱う。
ア 遷延性植物状態については、日常生活の用を弁ずることができない状態であると 認められるため、1級と認定する。
イ 障害の程度を認定する時期は、その障害の状態に至った日から起算して3月を経過した日以後に、医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められるとき(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
障害年金で「遷延性植物状態」と認められるには、次の①~⑥に該当し、かつ、それが3月以上継続しほぼ固定している状態のことを言います。なお遷延性植物状態(障害認定日)の起算日は、診断基準 の6項目に該当した日になります。
①自力で移動できない
②自力で食物を摂取できない
③糞尿失禁をみる
④目で物を追うが認識できない
⑤簡単な命令には応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通ができない
⑥声は出るが意味のある発語ではない
そしてその障害の状態に至った日から起算して3月を経過した日以後に、医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められる日が、初診日から1年6か月以内にあれば、その日が障害認定日になりますので、ここまで遡っての障害認定日請求が可能になります。
診断書作成に当たっては、以下の事項がクリアされているか注意が必要です。
- ⑨欄に、該当した日(起算日)が記入されているか。
- ⑦欄に「治った日」が記入されているか。 また起算日と治った日は3月以上経過しているか。
- 現症日が⑦欄の「治った日」(障害認定日)以降3月以内であるか。
なお脳死と植物状態は異なります。 脳死は、大脳や脳幹、小脳など、脳のすべてが働かなくなった状態なので、心臓を始め、全ての臓器は自分の力で動くことはありません。どのような治療をしても、元気な身体に戻ることはなく、人工呼吸器を外せば、呼吸も心臓もすぐに止まってしまいます。一方、植物状態は、脳の中の「脳幹」と呼ばれる部分が働いているので、そこから心臓に命令を出して、自分で呼吸したり、血液をからだ中に送ったりすることができます。そのため、「植物状態」になっていても、治療を続けることで、目を覚ましたり、話ができるようになることもあります。
初診から1年6か月以内に脳死判定が出れば、判定が出た日を障害認定日にすることが可能となります。

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