【完全ガイド】公務員・教員の障害共済年金とは?厚生年金との違いや請求先の注意点を解説
最終更新日: 2026-5-20 社会保険労務士 遠藤 隆

【結論】初診日が公務員や教員(共済組合員)だった方でも、障害年金(障害厚生年金・障害共済年金)を受け取ることができます。
平成27年10月の「被用者年金一元化」によって公務員の年金制度は厚生年金へと統合されましたが、現在でも「請求先の窓口」や「独自の審査ルール」など、一般の会社員とは異なる重要な注意点が残されています。
この記事はこのような方に向いています。
✅ 公務員や学校の先生として働いていた期間に病気やケガの初診日がある方
✅ 共済組合の障害年金(障害共済年金)と一般の障害厚生年金の違いを知りたい方
✅ 年金一元化(平成27年10月)をまたいで申請する場合の影響を知りたい方
✅ 共済組合特有の審査ルールや、申請手続きの流れが分からず困っている方
この記事の目次
- 【結論】初診日が公務員・教員(共済組合員)でも障害年金はもらえる!
- 障害年金の基本構造と公務員が対象となる「障害厚生年金」
- 平成27年10月からの「被用者年金一元化」による公務員の年金変化
- 一般の障害厚生年金と「障害共済年金(公務員特有)」の異なる3つのポイント
- 公務員・教員特有の障害年金申請における「実務上の注意点」
- 当センターでの公務員・教職員の方の障害年金受給事例
- 公務員・教員の障害年金に関するよくある質問(FAQ)
- まとめ|公務員・教員の複雑な障害年金申請は新横浜・川崎障害年金相談センターへ
【結論】初診日が公務員・教員(共済組合員)でも障害年金はもらえる!
病気やケガによって仕事や日常生活に制限が出ている場合、初診日に公務員や教員(共済組合員)であった方も障害年金を受給可能です。 障害年金は民間サラリーマンだけの制度ではなく、国家公務員、地方公務員、私立学校教職員など、すべての被用者を対象とした手厚い生活保障の仕組みです。
ただし、共済組合には民間の日本年金機構(年金事務所)とは異なる独自の書式や、請求手続における地域・組合ごとのローカルルールが存在します。当センター(新横浜・川崎障害年金相談センター)でも元公務員の方からのご相談を多くいただきますが、この独自ルールに惑わされずに書類を揃えることが、スムーズな受給への第一歩となります。
障害年金の基本構造と公務員が対象となる「障害厚生年金」
障害年金は、原則として20歳から64歳までの方が病気やケガによって生活や労働に支障をきたした際に支給される国の公的年金です。 障害年金は、初めて医師の診察を受けた「初診日」にどの年金制度に加入していたかによって、受け取れる年金の種類が変わります。
| 初診日の加入年金制度 | 請求できる障害年金の種類 |
対象となる障害等級
|
| 国民年金(自営業・主婦・学生など) | 障害基礎年金 | 1級、2級 |
| 厚生年金(一般企業の会社員など) | 障害厚生年金 + 障害基礎年金 |
1級、2級、3級(※3級は厚生年金のみ)
|
| 共済組合(公務員・教職員など) | 障害厚生年金(または障害共済年金) | 1級、2級、3級 |
👉 障害の程度が重く2級以上に認定されれば、障害基礎年金とあわせて2階建てで支給されます。公務員や教員の方は、一般の会社員と同様に3級の基準(労働に一定の制限がある状態)でも年金を受け取れる権利が保障されています。対象となる病気は、手足の麻痺などだけでなく、精神障害(うつ病など)やがん、糖尿病といった内部障害も幅広く含まれます。
平成27年10月からの「被用者年金一元化」による公務員の年金変化
かつて公務員や教職員の年金制度は、民間サラリーマンの「厚生年金」とは別に、「国家公務員共済組合」「地方公務員等共済組合」「私立学校教職員共済」という独自の共済年金として分かれて運営されていました。しかし、平成27年10月1日より、これら4つの被用者年金制度が厚生年金へと一本化(被用者年金一元化)されました。
この一元化は、少子高齢化に備えて年金財政の範囲を広げ、公務員も民間サラリーマンも「同じ保険料を負担し、同じ年金給付を受ける」という公平性を確保することを目的としています。
これにより、いつの時点で年金を受け取る権利(受給権)が生じたかによって、以下のように傷病の名称や仕組みが区分されることになりました。
- 平成27年9月までに受給権が生じた場合:従来の「障害共済年金」が支給される
- 平成27年10月の一元化後に受給権が生じた場合:現在の「障害厚生年金」が支給される
👉 一元化後に発生した障害については、基本的な受給要件や障害認定基準、手続きのベースは一般の障害厚生年金と共通化されています。
一般の障害厚生年金と「障害共済年金(公務員特有)」の異なる3つのポイント
被用者年金が一元化されたとはいえ、初診日が共済組合員期間にある場合、民間の会社員(日本年金機構で手続きを行う方)とは異なるポイントが主に3つ残されています。
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① 請求先・審査・支給は「日本年金機構」ではなく各「共済組合」
最も重要な違いは、申請書類の提出先です。初診日に共済組合員であった方は、お近くの年金事務所ではなく、当時加入していた各共済組合(地方公務員共済組合や私学共済など)の本部が請求窓口となり、審査や給付もその共済組合が行います。
② 年金額に「経過的職域加算額」が上乗せされるケースがある
一元化前までの共済年金には、民間の厚生年金にはない「職域加算」という公務員独自の上乗せ給付が存在していました。一元化によって職域加算は廃止されましたが、初診日が一元化前(平成27年9月30日以前)にある傷病で障害年金を受給する場合、現在でも「経過的職域加算額」として年金額にお金が上乗せされて支給されます。
③ 年金証書の発行や実際の振込スケジュールが特殊
公務員の方の障害年金(2級以上)が決定した場合、年金証書は国(厚生労働省)から発行され、そこには「障害基礎年金」の金額のみが記載されて届きます。厚生年金(または共済年金)部分の金額については、後から共済組合から届く「年金決定通知書」に記載されます。また、共済組合での決定後に日本年金機構へと情報が連携されるため、実際の口座への振込スケジュールが、通常の共済組合の支払いよりも1〜2ヶ月遅れて開始されるという特徴があります。
公務員・教員特有 の障害年金申請における「実務上の注意点」
公務員や学校の先生の障害年金手続きを実際に進めるにあたっては、以下の共済組合特有の「実務上の注意点」を事前に知っておく必要があります。
1. 書類の審査期間が日本年金機構よりも長期化しやすい
一般の年金事務所へ障害年金を提出した場合、審査期間は概ね3ヶ月〜4ヶ月程度が目安とされています。しかし、共済組合に書類を提出した場合、組合内での審査や審議会のスケジュール等の関係上、日本年金機構と比較して決定が下りるまでに長期間(半年以上など)を要する傾向があります。焦らずに待つ心構えが必要です。
2. 更新月(有期認定)の確認方法が特殊
障害年金の受給が決定した際、国から届く年金証書には、次回更新が必要ないことを示す「永久認定(コード1)」の記載がなされているケースがあります。しかし、これは基礎年金側の形式的な記載である場合があり、実際には2〜3年ごとに更新書類(診断書)を出す必要がある「有期認定」であるケースが多々あります。本当の更新月は、共済組合から別途発行される決定通知書にしか書かれていないため、見落とすと年金が止まる原因になります。
3. 過去に遡る場合、長期間の診断書を求められる独自ルールがある
何年も前の障害認定日に遡って請求を行う(遡及請求)場合、日本年金機構であれば「当時の診断書」と「現在の診断書」の2枚で済むのが原則です。しかし、共済組合によっては、その長い年月の間の病状変化を詳細に確認するため、「中間の期間の診断書も追加で提出してください」といった独自の補正指示を出してくることがあります。
当センターでの公務員・教職員の方の障害年金受給事例
新横浜・川崎障害年金相談センター(社会保険労務士法人 ポラリス・コンサルティング)が、初診日が共済組合員だった方の申請をサポートした実績をご紹介します。
【事例】中学校の教員在職中にうつ病を発症・障害厚生年金2級に認定
職種:地方公務員(中学校教諭)
状況:学校現場の過重労働からうつ病を発症し、休職と復職を繰り返した後に退職された50代の女性。初診日は平成28年(一元化後)でした。退職後も症状が重く、日常生活を一人で送ることが困難な状態が続いていました。
当センターの対応:初診日に公立学校共済組合の組合員であったため、同共済組合の専用書式を取り寄せ、手続きを進行。在職中に受けていた病気休暇の記録や、退職に追い込まれた詳細な経緯を「病歴就労状況等申立書」に反映させました。
結果:障害厚生年金2級(+障害基礎年金2級)が決定。年額約145万円の受給に加え、在職期間の長さに応じた厚生年金部分が正しく反映され、将来にわたる大きな安心を確保されました。
公務員・教員の障害年金に関するよくある質問(FAQ)
Q. 現在、公務員として休職中(または在職中)ですが、障害年金はもらえますか?
A. はい、公務員として籍があり、働いている(または休職している)最中であっても、障害年金を受給することは可能です。 一元化前(平成27年9月まで)は、在職中に障害共済年金をもらうと給与額に応じて年金が全額または一部支給停止される仕組みがありましたが、一元化以降はそのような在職支給停止ルールは廃止されました。現在は、働きながら、あるいは休職中で給与や傷病手当金をもらっている状態であっても、障害年金は全額支給されます。ただし、職域加算額部分については在職中は全額支給停止となります。
Q. すでに公務員を退職して民間の会社員(または無職)ですが、請求先はどこになりますか?
A. 現在の職業にかかわらず、請求先は「初診日に加入していた共済組合」となります。 障害年金の請求先は、現在の年金加入状況ではなく、あくまで「初診日時点でどこに所属していたか」で決定します。そのため、現在は公務員を辞めて年金事務所の管轄(国民年金や一般の厚生年金)に移っていたとしても、初診日が公務員時代であれば、手続きは当時加入していた共済組合に対して行うことになります。
Q. 共済組合への障害年金請求には、一般の年金事務所とは違う専用の書類が必要ですか?
A. はい、各共済組合が独自に用意している専用の請求書や申立書を使用する必要があります。 診断書自体の様式は日本年金機構と共通化されていますが、「年金請求書」や「病歴就労状況等申立書(またはそれに準ずる書類)」は、共済組合ごとに独自のロゴや書式が刷られた専用紙を指定されることがほとんどです。年金事務所でもらった用紙に記入して共済組合に送っても受け付けてもらえないため、必ず事前に該当する共済組合から書類一式を取り寄せる必要があります。
Q. 教員を辞めて私立学校に転職しました。初診日が前の公立学校時代の場合、合算されますか?
A. はい、年金額を計算する際の加入期間は、公立(地方公務員共済)と私立(私学共済)の期間がすべて合算されます。 被用者年金が一元化された大きなメリットの一つです。過去に異なる共済組合に所属していたり、民間の厚生年金期間が混ざっていたりする場合でも、すべての加入期間と報酬額を一本に合算した上で、最終的な障害厚生年金の受給額が算出されます。
まとめ|公務員・教員の複雑な障害年金申請は新横浜・川崎障害年金相談センターへ
初診日が公務員や教員(共済組合員)だった場合のポイントをまとめます。
- 初診日が共済組合員期間にあれば、一元化後でも障害年金の受給が可能
- 手続きの窓口や審査、年金の支給を行うのは日本年金機構ではなく「当時の共済組合」
- 初診日が一元化(平成27年9月以前)にあれば、経過的職域加算額が上乗せされる
- 審査期間が長くなりやすい、年金証書の記載と実際の更新月が異なるなど、共済特有の注意点がある
公務員や教職員の方の障害年金申請は、窓口となる共済組合ごとの細かな必要書類の違いや、一元化をまたぐことによる計算の複雑さから、ご自身だけで進めると書類の不備や確認漏れが発生しやすい傾向にあります。手続きに少しでも不安を感じたら、まずは専門の社労士へご相談ください。
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