年金事務所の説明は正しい?障害年金で実際にあった4つの誤解
最終更新日: 2026-5-27 社会保険労務士 遠藤 隆
【結論】障害年金は制度が複雑なため、インターネットや窓口で得た情報だけでは判断が難しい場合があります。特に初診日や傷病名の選択、障害認定日の考え方については誤解が生じやすいため注意が必要です。
障害年金の申請において、年金事務所や役所、あるいは経験の浅い専門家の説明をそのまま鵜呑みにしてしまうと、本来もらえるはずの年金を受け取れなくなるリスクがあります。障害年金は「誰に相談し、最初の段階でどう判断するか」によって、受給可否や請求方法の選択に影響する場合がある複雑な制度です。
この記事が向いている方
✅ 年金事務所や役所の窓口で言われた説明に納得がいかない方
✅ 「自分は受給対象外かもしれない」と申請を諦めかけている方
✅ 障害年金の申請で失敗して損をしたくない方
✅ 過去に自分で申請して不支給になってしまった方
この記事の目次
- 【結論】障害年金は誤解が生じやすいため、制度の正しい理解が重要です
- 障害年金申請で実際にあった誤解と正しい事実
誤解①「厚生年金だから2級は無理(3級になる)」は間違い
誤解②「若い人は年金をもらえない」は間違い
誤解③「言われた通りに申請すれば通る」は間違い
誤解④「どの傷病名で申請しても結果は同じ」は間違い - なぜ年金事務所や役所の窓口で「誤解」が生まれるのか?
- 【重要】障害年金の申請で失敗しやすい4つのポイント
- このようなお悩みはありませんか?相談を検討すべき方の特徴
- よくある質問(FAQ)
障害年金の4つの誤解と正しい事実
障害年金の認定は、日本年金機構が公表する障害認定基準に基づいて行われます。障害年金の相談現場では、公的機関の窓口で間違った説明を受け、それを信じ込んでしまっている方が少なくありません。ここでは、実務で特によく見かける4つの誤解について解説します。
誤解①「厚生年金だから2級は無理(3級になる)」は間違い
年金事務所に相談に行き、等級の話になりました。担当者から「自殺する人が1級、入院する人が2級、厚生年金に入っていた人が3級。あなたは厚生年金加入中だったから3級ね」と説明を受けました。
👉障害年金の等級は障害認定基準に基づき判断されます。「初診日に厚生年金に加入していた人は、一律で障害厚生年金3級になる」という事は制度上定められていません。障害年金の等級(1級〜3級)は、加入している年金制度ではなく、「症状の重さ」「日常生活能力」「就労状況」などを総合的に考慮して決定されます。
誤解②「若い人は年金はもらえない」
発達障害で働けないお嬢様が20歳になったので、お父様が役所に障害年金の相談にいったところ、応対した役所の職員から「まだ若いのだから年金なんかもらえないよ。働いたらどうなの?」と言われました。
👉 これも誤りです。
【実務事例】
役所の人が言うのだからそういうものかと思い、20歳時点で申請せず、そのまま10年経過 → 弊社で申請し「障害基礎年金2級」が認定 → ただし時効により400万円以上が受給できず消滅
👉 “知らなかった”だけで大きな損失が発生する典型例です。
誤解③「言われた通りに申請すれば通る」
精神疾患で年金事務所と相談しながら申請したが不支給となったケース。書類を確認すると、 「適応障害」の病名のみで申請。
実務上のポイント
- 神経症の傷病名だけでは年金対象外
- 診断書・申立書の工夫が必要
👉 適応障害といった神経症は原則障害年金の対象外です。この病名のみの請求には工夫が必要です。
誤解④「どの傷病で申請しても同じ」
知的障害とてんかんをお持ちのお嬢様をもつお母様から相談を受けました。年金事務所と相談しながら手続きを進めていったそうですが、知的障害では難しいのでてんかんで申請致しました。
結果は不支給決定。よくよくお話をお聞きしたところ、てんかんは薬でしっかり抑制され、発作はここ数年起きていませんでした。
【実務での修正】
- てんかん:薬でコントロール済み(発作なし)
- 知的障害:日常生活に大きな制限あり
→ 知的障害で再申請 → 障害基礎年金2級が認定
なぜこのような誤解が起きるのか
障害年金は、
- 制度が複雑
- 個別判断が必要
- 書類の作り方で結果が変わる
という特徴があります。そのため 一般的な説明だけでは正しい判断ができないケースが多いのが実情です。
【重要】障害年金で失敗しやすいポイント
- 初診日の判断ミス
- 傷病選択の誤り
- 診断書の内容不足
- 申立書の構成不備
👉 実務では「最初の判断」で結果に大きな影響を与えることがあります。
相談を検討すべき方
- 説明内容に少しでも違和感がある
- 申請方法に自信がない
- 過去に不支給になった
- 初診日や通院歴が複雑
👉 1つでも当てはまる場合、申請前の整理が重要です。なぜなら障害年金は「制度を知っている」だけでは足りず、「どの情報をどう整理するか」で結果が変わる実務の世界だからです。
障害年金に関するよくある質問(FAQ)
Q. 年金事務所の説明は必ず正しいですか?
A. 年金事務所の説明は重要な参考情報ですが、必ずしも個別の受給可否や等級を確定するものではありません。最終的な認定は日本年金機構の審査によって行われます。そのため、窓口で「難しいかもしれません」と言われた場合でも、実際に申請した結果、障害年金が認定されるケースがあります。特に初診日の判断や障害認定基準の適用は個別事情によって異なるため、説明に疑問がある場合は複数の情報源を確認することをおすすめします。
Q. 若くても障害年金は受給できますか?
A. はい。年齢だけを理由に障害年金が支給されないことはありません。障害年金は年齢ではなく、
- 初診日
- 保険料納付要件
- 障害の状態
などの要件によって判断されます。発達障害や知的障害、精神疾患などにより日常生活や就労に大きな制限がある場合、20歳前傷病による障害基礎年金の対象となることがあります。「若いから無理」と自己判断して申請を諦めるのではなく、制度上の要件を確認することが大切です。
Q. 初診日が分からない場合はどうなりますか?
A. 初診日がすぐに分からなくても、申請できなくなるとは限りません。障害年金では初診日の証明が重要ですが、初診日が古い場合には、
- 診察券
- お薬手帳
- 紹介状
- 健康診断記録
- 当時の診療録の写し
などの資料が参考になることがあります。また、最初の病院が廃院していたりカルテが残っていなかったりするケースでも、複数の客観的資料を組み合わせて初診日を証明できる場合があります。
Q. 一度不支給になったら終わりですか?
A. いいえ。不支給になった後でも取り得る手続きがあります。不支給決定に納得できない場合は、決定内容の見直しを求める「審査請求」や、その後の「再審査請求」を行うことができます。
また、病状の変化や新たな資料の取得により、改めて「再請求(再申請)」を行うことも可能です。ただし、不支給理由によって適切な対応方法は異なるため、まずは決定通知書の内容を確認し、何が認定の障害となったのかを整理することが重要です。
まとめ|障害年金は「判断の差」がそのまま結果になる
障害年金は、「正しく申請すれば通る制度」ではありません。
- 判断を誤れば不支給
- 手続きが遅れれば時効
- 書類が不十分なら等級が下がる
👉 つまり、“知らないこと”自体がリスクになります。また一度誤った判断で申請してしまうと、後から修正できないケースもあるので注意が必要です。
ご相談について
これまでの事例のように、
- 誤った理解のまま申請してしまう
- 本来受けられる年金を失ってしまう
ケースは少なくありません。障害年金は申請後の修正が難しい制度です。
👉 迷っている段階での判断が、結果を大きく左右します。状況に応じた進め方については、個別にご案内しています。
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