【社労士監修】働いていても障害年金はもらえる?受給基準と不支給を防ぐ働き方のポイント
最終更新日: 2026-5-25 社会保険労務士 遠藤 隆
【結論】働いていても障害年金を受給することは十分に可能です。
「働いていると労働能力があるとみなされて不支給になるのでは?」という疑問は非常に多く寄せられますが、審査において最も重視されるのは単なる「就労の有無」ではなく、「どのように働いているか(就労状況や職場での配慮の実態)」です。実際に「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、『労働に従事していることをもって直ちに日常生活能力が向上したものと捉えない』とされています。
この記事が向いている方
✅ 現在、仕事をしながら障害年金の申請を検討している方
✅ 障害者雇用枠や就労継続支援(A型・B型)で働いており、受給できるか知りたい方
✅ フルタイム勤務だが、病気やケガによる制限や周囲のサポートを受けている方
✅ 働いていることが原因で不支給になるのを防ぐための書類作成のコツを知りたい方
この記事の目次
- 障害年金の審査は「就労の有無」だけで判断されない理由
- 【一覧表】働き方の種類(雇用形態)による障害年金の受給可能性の目安
- 傷病のジャンルによって異なる就労が審査に与える影響
- 精神障害における「等級判定ガイドライン」が定める就労時の総合評価基準
- 知っておきたい就労中の申請における注意点と不支給となる落とし穴
- 働きながらの障害年金申請で実態を正しく書類に反映させるための対策
- 新横浜・川崎障害年金相談センターによる確実な就労中申請サポート
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
- ご相談について
障害年金の審査は「就労の有無」だけで判断されない理由
障害年金の審査において、質問に対する答えは「働いているだけで自動的に不支給となることはない」ということです。
障害年金制度は、病気やケガによって日常生活や労働にどれほどの制限が生じているかを判定する仕組みです。そのため、審査では単に「就労しているか」という表面的な事実ではなく、以下のポイントが総合的に考慮される傾向があります。
- 日常生活へどのような支障が出ているか
- 仕事の内容や勤務時間にどのような制限があるか
- 職場の上司や同僚、家族からどのような援助(配慮)を受けているか
現に仕事をこなせていたとしても、それが「周囲の多大なサポートや環境の配慮があって初めて成り立っている状態」であれば、労働能力が制限されていると評価され、受給に繋がる可能性が残されています。
【一覧表】働き方の種類(雇用形態)による障害年金の受給可能性の目安
| 働き方の種類(雇用形態) | 勤務実態・職場での配慮の例 |
受給可能性の目安
|
| 一般雇用(フルタイム・配慮なし) | 健常者と同じ条件で勤務。業務内容の軽減や体調面での特別なフォローがない状態。 |
低い傾向(労働能力があると判断されやすいため)
|
| 一般雇用(時短勤務・配慮あり) | 体調に合わせて勤務時間を短縮。欠勤・早退が多かったり、軽作業への変更等の配慮がある状態。 |
可能性あり(制限や支障の証明が必要)
|
| 障害者雇用枠 | 業務内容が限定的。残業の免除、定期的な面談、障害特性に応じた周囲の手厚いサポートがある状態。 |
可能性あり(労働能力の制限が認められやすい)
|
| 福祉的就労(就労継続支援A型・B型) | 福祉的な管理のもとで行われる就労。就労移行支援を含む。一般企業での独立した労働は困難とみなされる状態。 |
比較的高い傾向(十分な労働能力ありとは評価されにくいため)
|
👉 「一般雇用のフルタイムだから絶対にもらえない」「障害者雇用だから必ずもらえる」といった二者択一ではなく、それぞれの環境における「制限の実態」が個別に審査されます。
傷病のジャンルによって異なる就労が審査に与える影響
就労しているという事実が審査に与える影響の度合いは、請求する傷病が「身体障害」「内部疾患・難病」「精神障害」のいずれであるかによって大きく変わります。
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① 身体障害(視覚・聴覚・肢体など)の場合:数値や状態で判断されやすく就労の影響は少なめ
視力・視野の測定値、聴力レベル、関節の可動域や人工関節の挿入など、身体障害の多くは「客観的な数値や状態」によって等級が機械的に判別される傾向があります。
👉 人工透析を行っている、人工関節を入れている、明確な肢体機能障害があるといったケースでは、どれだけバリバリとフルタイムで働いて高い収入を得ていても、就労を理由に不支給になるケースは多くありません。
② 内部疾患・難病(がん・人工透析など)の場合:「一般状態区分」の制限度が焦点
がんや各種難病、内科系疾患の診断書には「一般状態区分表」という、日常生活の制限度を「ア・イ・ウ・エ・オ」の5段階で評価する重要な項目があります。
- 「ア」:歩行や身のまわりのことはできるが、時に臨んで他人の介助を必要とする
- 「イ」:軽度の症状があり、肉体労働はできないが、軽労働(事務など)はできる
👉 フルタイムで特に制限なく通常通り働いている場合は「ア」と評価されやすく受給は厳しい傾向にあります。一方で、デスクワークや軽作業に限定されている、時短勤務であるなどの場合は「イ」と評価され、3級などの受給に繋がる可能性があります。
③ 精神障害(うつ病・発達障害など)の場合:就労実態や職場の配慮が審査を大きく左右
うつ病や双極性障害、発達障害(ADHD/ASD)、知的障害などの精神障害は、身体障害のように数値化ができないため、「働いているという事実」が審査に最も大きな影響を与える傾向があります。 安定して長く働けていると「日常生活能力も高い」と判断されやすくなりますが、次章で解説する独自のガイドラインに沿って、職場での援助内容が細かく精査されます。
精神障害における「等級判定ガイドライン」が定める就労時の総合評価基準
国が定める「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、働いている方の日常生活能力を判断する際、単に「労働していること」だけをもって一律に不支給にしてはならないという以下のルールが明記されています。
【ガイドラインにおける考慮要素の例(要約)】 労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する。
具体的には、審査において以下のような事実が確認されれば、働きながらでも精神障害での受給の可能性が広がります。
- 就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型・B型)や障害者雇用枠を利用していること
- 仕事の内容がマニュアル化された単純作業などに限定されていること
- 体調悪化による急な欠勤・早退を会社から容認してもらっていること
- 社内にジョブコーチなどの指導員がおり、常に指示や見守りを受けていること
- 他の従業員との意思疎通が困難であり、業務上の特別な配慮(個別指示など)を受けていること
知っておきたい就労中の申請における注意点と不支給となるポイント
働きながら障害年金を申請するにあたり、実務上、不支給に繋がりやすい代表的な「落とし穴」を解説します。
① 収入額や勤務実績が安定していると「労働能力あり」とみなされる傾向
最近の傾向として、たとえ障害者雇用枠や時短勤務であっても、「極めて高い収入を継続して得ている」「長期間、無遅刻無欠勤で勤務が安定している」といった場合、審査において「相応の労働能力が備わっている」と評価され、受給のハードルが上がるケースが見られます。単に「障害者雇用だから大丈夫」と過信せず、どのような制限を受けているかの具体的な立証が必要です。
② 実際の就労状況と「診断書・申立書」の内容に食い違いがあるケース
実務で最も多い不適切なパターンが、書類間の内容のズレです。
-
不適切な例:主治医に対して「働いていること」を詳しく伝えていないため、診断書には「一般雇用で勤務中」とだけ簡易的に書かれてしまう。一方で、ご自身が作成する病歴・就労状況等申立書には「周囲の助けがないと全く働けない」と記載する。
👉 このように、実際の働き方、医師の評価、本人の申立書の3つが一致していないと、審査側から書類の信憑性を疑われ、不支給リスクが跳ね上がってしまいます。
働きながらの障害年金申請で実態を正しく書類に反映させるための対策
働きながら障害年金の受給をたぐり寄せるためには、「周囲のサポートがあるからこそ、かろうじて働けている」という実態を書類上で正確に再現することが最重要対策となります。
- 医師への事前伝達を徹底する:診察時に「元気に仕事に行けています」とだけ伝えると、健康な状態の診断書が作成されてしまいます。「実は業務を軽減してもらっている」「帰宅後は疲れ果てて寝込んでしまい、家事が一切できない」といった、就労に伴う反動や配慮の実態をまとめた書面を医師に渡しましょう。
- 申立書に具体的な職場での配慮エピソードを記載する:病歴・就労状況等申立書には、「指示はすべてメモで個別に受けている」「体調に合わせて休憩を通常より多くもらっている」など、職場が講じている具体的な援助内容を詳細に記入することが大切です。
新横浜・川崎障害年金相談センターによる確実な就労中申請サポート
社会保険労務士法人 ポラリス・コンサルティングが運営する「新横浜・川崎障害年金相談センター」では、これまでに12,000件以上の豊富な相談実績のもと、就労中の方の障害年金申請を数多く受給へと導いてきました。
働きながらの申請は、書類の書き方や医師への伝え方の難易度が極めて高く、個人で進めると就労の事実が不利に働いて不支給になってしまうケースが散見されます。当センターでは、お客様の勤務先での労働実態や配慮内容を丁寧にヒアリングし、「審査官に労働制限の強さが正しく伝わる申請設計」を行います。
当センターは相談料無料で、万が一受給できなかった場合には報酬をいただかない「成果報酬制」をとっております。武蔵小杉駅徒歩2分の川崎オフィスや新横浜駅徒歩5分のオフィスでの対面面談はもちろん、LINEやオンラインでのご相談も24時間受付対応しておりますので、働きながらの申請に不安をお持ちの方はぜひ一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 働きながら障害年金を申請しても、本当に会社に迷惑はかかりませんか?
A. はい、会社への迷惑や、受給の事実が会社に通知されるようなことは一切ありません。 障害年金は国(日本年金機構)から個人に直接支給されるため、ご自身で話さない限り、会社に受給を知られる心配はありません。年末調整や住民税の手続きから発覚することもありませんので、今の仕事を続けながら安心して申請いただけます。
Q. 「年収が○○万円以上あると不支給」といった明確な収入の壁はありますか?
A. いいえ、20歳前障害の特例を除き、一般の障害年金には「一律の収入制限」はありません。 ただし、金額の明確なボーダーラインはないものの、収入が高く安定しているほど「労働能力が十分にある」とみなされやすくなる傾向はあります。そのため、収入が高めであっても、業務内容にどのような特殊な配慮や制限があるかを書類でカバーすることが重要です。
Q. 就労継続支援B型に通って作業していますが、これでも「働いている」とみなされて不利になりますか?
A. いいえ、就労継続支援B型(やA型)での福祉的就労は、むしろ「一般企業での労働が困難な状態」の客観的な証明になり得ます。 福祉的な管理・支援のもとで働いている状態は、ガイドライン上でも考慮されるべき要素とされており、一般のフルタイム勤務に比べて障害年金の受給可能性は比較的高い傾向にあります。
Q. 一般雇用のフルタイムで働いているのですが、受給できる可能性はゼロですか?
A. いいえ、可能性が完全にゼロというわけではありません。 例えば、身体障害(人工透析や人工関節など)であればフルタイムでも問題なく認められるケースが多いです。精神疾患の場合でも、遅刻や欠勤が非常に多い、実質的に周りの社員が仕事の穴埋めを常に行っている、お情けで籍を置かせてもらっているなど、労働実態が著しく制限されていることが証明できれば、受給に至る事例は存在します。
まとめ|「どのように働いているか」を正しく伝える
- 働いている=不支給ではなく、働きながら障害年金を受給している方は数多く存在する
- 審査で重視されるのは単なる就労の有無ではなく、仕事における「制限の程度」や「職場の配慮」
- 身体障害は就労の影響が少ないが、精神障害や内部疾患は働き方の実態が審査に直結しやすい
- 職場での配慮内容や、帰宅後の疲弊状況を「診断書」と「申立書」に矛盾なく反映させることが不可欠
- 働きながらの申請は判断が非常にデリケートなため、提出前に社労士などの専門家に相談するのが確実です
ご相談について
「仕事を始めたら年金が止められてしまうのではないか」「障害者雇用で働き始めたけれど申請できるか不安」など、就労と障害年金の関係でお悩みの方は多くいらっしゃいます。就労中の申請は、書類の表現ひとつで審査の判断が分かれる非常にデリケートな分野です。
状況に応じた具体的な進め方については、無料相談で個別にご案内しています。
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