【社労士監修】老齢厚生年金の「障害者特例」とは?受給条件・金額・申請方法を解説
最終更新日: 2026-4-20 社会保険労務士 遠藤 隆
【結論】障害者特例とは、65歳前にもらえる「特別支給の老齢厚生年金」を、本来の65歳以降と同じフルセットの金額(報酬比例部分+定額部分)へ引き上げる制度です。
厚生年金の受給開始年齢が引き上げられる中で設けられた救済措置の一つで、障害年金3級以上の状態にある方が退職(厚生年金喪失)している場合に、請求によって年金額が増額されます。
この記事が向いている方
✅ 60代前半で「特別支給の老齢厚生年金」を受給中、またはこれから受給する方
✅ 病気やケガで障害状態にあるが、障害年金の手続きはしていない方
✅ 人工関節を挿入したが、初診日が国民年金のため障害年金をもらえなかった方
✅ すでに障害年金を受給しており、老齢年金がどうなるか知りたい方
この記事の目次
- 【結論】障害者特例とは「65歳前の年金をフルセットにする」制度です
- 障害者特例を受けるための3つの必須条件
- 【重要】障害年金が「不支給」の方でも特例を受けられるケース
- いくら増える?障害者特例で支給される「定額部分」の金額目安
- すでに障害年金を受給している方の適用ルール
- 障害者特例の手続き方法と「いつからもらえるか」の注意点
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
【結論】障害者特例とは「65歳前の年金をフルセットにする」制度です
障害者特例とは、60代前半の方が受け取る「特別支給の老齢厚生年金」に「定額部分」を加算する仕組みのことです。
かつて厚生年金は60歳から支給されていましたが、現在は段階的に65歳開始へと引き上げられています。その移行期間の措置として「特別支給の老齢厚生年金」がありますが、多くの方は「報酬比例部分」のみの支給となっています。
👉 障害者特例が適用されると、65歳を待たずに**「報酬比例部分 + 定額部分」**の両方を受け取れるようになり、合計額が大きくアップします。
障害者特例を受けるための3つの必須条件
障害者特例を請求するには、以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。
① 特別支給の老齢厚生年金の受給権があること
以下の生年月日要件を満たし、厚生年金に1年以上加入していた方が対象です。
- 男性: 昭和36年4月1日以前生まれ
- 女性: 昭和41年4月1日以前生まれ
- 共通: 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていること
② 厚生年金保険法に定める「3級以上」の障害状態であること
障害年金の1級〜3級の認定基準に該当する状態である必要があります。必ずしも「障害年金」を受給している必要はなく、診断書等でその状態が証明できれば対象となります。
③ 厚生年金保険の被保険者ではないこと
現在、会社員として厚生年金に加入している間は、この特例を受けることはできません。**「退職していること(被保険者資格を喪失していること)」**が条件となります。
【重要】障害年金が「不支給」の方でも特例を受けられるケース
初診日が国民年金だったために「障害年金3級」で不支給になった方でも、障害者特例なら年金が増える可能性があります。
これは本制度の非常に大きなメリットです。 例えば、**「人工関節(または人工骨頭)を挿入置換した方」**は、原則として障害状態3級に該当します。
- 障害年金の場合: 初診日が国民年金だと1級・2級しか支給されないため、3級相当の人工関節は「不支給」となります。
- 障害者特例の場合: 老齢厚生年金の仕組みであるため、3級の状態であれば「定額部分」の加算が受けられます。
👉 「障害年金がダメだったから」と諦めず、ご自身の生年月日と状態を照らし合わせることが重要です。
障害者特例を請求することができるのは、以下の3つの条件全てを満たしている方です。
いくら増える?障害者特例で支給される「定額部分」の金額目安
障害者特例によって加算される「定額部分」は、以下の計算式で算出されます(2026年度価格)。
1,766円 × 生年月日に応じた率 × 厚生年金加入期間(最大480ヶ月)
目安として、厚生年金に40年間(480ヶ月)加入していた方であれば、年間で約85万円(月額 約7万円)程度が現在の年金に上乗せされることになります。さらに、条件を満たす配偶者がいる場合は「配偶者加給年金(約40万円)」が追加されるケースもあり、非常に大きな増額となります。
すでに障害年金を受給している方の適用ルール
すでに障害年金(1級〜3級)を受給している方が、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に達した場合、特例の適用はスムーズです。
- 原則: 障害者特例の条件を満たした時点(受給開始年齢到達、または退職時)に遡って請求したものとみなされます。
- 支給開始: 条件を満たした翌月分から、自動的または簡単な手続きで「定額部分」が加算された金額が支払われます。
障害者特例の手続き方法と「いつからもらえるか」の注意点
障害者特例は、条件を満たしても「請求(申請)」をしない限り支給されません。
- 必要書類の準備: 障害の状態を証明する診断書(障害年金受給中の方は年金証書の写し等)を用意します。
- 年金事務所への請求: 「老齢厚生年金 障害者特例・長期加入者の特例 決定請求書」を提出します。
- 支給開始: 請求書を受理した日の翌月分から加算が始まります。
👉 【注意!】 遡及(さかのぼり)請求は原則できません。手続きが遅れると、その分だけ「定額部分」をもらい損ねてしまうため、条件を満たしたらすぐに相談・申請を行うことが鉄則です。
当センターによる老齢厚生年金障害者特例の受給事例
新横浜・川崎障害年金相談センターでは、老齢厚生年金障害者特例での受給実績が多数ございます。
- 事例A:間質性肺炎(60代・女性) 24時間在宅酸素により障害厚生年金3級を受給。老齢厚生年金障害者特例の適用により、老齢厚生年金が75万円増額し、年額174万円受給できたケース
24時間在宅酸素療法で障害厚生年金3級を取得、障害者特例の適用により特別支給の老齢厚生年金の年金額が75万円増額し、年額174万円受給できたケース
- 事例B:大腿骨骨頭壊死(60代・男性) 人工関節に置換し障害厚生年金3級に認定。遡及で264万円、老齢厚生年金障害者特例の適用により年額220万円受給できたケース
大腿骨頭壊死症で両足人工骨頭置換術を受け障害共済年金3級を取得、特別支給の老齢厚生年金障害者特例を選択し、年額220万円、遡及で264万円を受給できたケース
よくある質問(FAQ)
Q. 障害者手帳を持っていれば、自動的に特例が適用されますか?
A. いいえ、自動的には適用されません。 障害者手帳と年金の障害者特例は別の制度です。別途、年金事務所へ「障害者特例」の請求手続きを行う必要があります。また、手帳の級と年金の級は必ずしも一致しません。
Q. 現在パートで働いていますが、特例は受けられますか?
A. 厚生年金に加入していなければ受けられます。 パート勤務であっても、社会保険(厚生年金)に加入している場合は「被保険者」となるため、特例の対象外です。厚生年金に加入しない範囲の勤務であれば、特例を受けることが可能です。
Q. 障害者特例を受けると、将来の65歳からの年金が減りますか?
A. いいえ、減ることはありません。 これは「特別支給の老齢厚生年金」の期間(60代前半)に限った加算措置です。65歳以降は通常の老齢基礎年金・老齢厚生年金に切り替わりますが、特例を受けたことで損をすることはありません。
Q. 人工股関節を入れていますが、何歳から請求できますか?
A. 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢からです。 生年月日によりますが、現在は61歳〜64歳の間で順次開始されます。その年齢に達しており、かつ退職されている状態であれば、人工関節(3級)による特例請求が可能です。
まとめ|老齢厚生年金の障害者特例
- 障害者特例は、60代前半の年金額を「定額部分」の加算により大きく増やす制度
- 「3級以上の障害状態」「退職済み」「特別支給の受給権あり」の3つが条件
- 障害年金が対象外(国民年金初診の3級など)でも、この特例なら受給できる可能性がある
- 請求した翌月分からの支給となるため、早めの手続きが非常に重要
ご自身が特例の対象かどうか、また「いつ、どのような診断書を用意すべきか」については、専門的な判断が必要です。
ご相談について
老齢厚生年金の障害者特例は、障害年金と同様に「診断書」の内容が重要となります。また、老齢年金と障害年金のどちらを選択すべきかという「有利選択」の判断も欠かせません。
当センターでは、お客様にとって最も受給額が多くなる組み合わせをシミュレーションし、申請をサポートいたします。
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