男性(40代):会社員
傷病名:肝硬変
居住地:神奈川県
決定した年金種類と等級:障害厚生年金3級
受給額: 年額65万円 遡及額92万円
相談時の相談者様の状況
健康診断で肝機能検査がE判定であった為、大学病院を紹介受診したところ肝硬変であることが判明し投薬治療を開始しました。医師からは、安静にして過度な運動は控えること、生鮮魚介類やアルコールの摂取を中止するよう指示がありました。易疲労感、倦怠感、浮腫みがあり、体の痒みが酷く搔きむしり皮膚疾患となり度重なる出血が続きました。現在は症状が悪化しており、腹水、便秘、強い吐き気もあります。就労は在宅勤務等の配慮を受けながら辛うじて続けているものの、吐き気が強く急遽休暇を取ることも増えている状況です。
相談から請求までのサポート
お電話にてお問い合わせがありました。肝硬変で就労や日常生活に支障をきたしているとのことでした。障害認定基準の肝疾患の認定要領は以下のようになっています。
(1) 肝疾患による障害の認定の対象は、慢性かつびまん性の肝疾患の結果生じた肝硬変症及びそれに付随する病態(食道・胃などの静脈瘤、特発性細菌性腹膜炎、肝がんを 含む。)である。
肝硬変では、一般に肝は萎縮し肝全体が高度の線維化のため硬化してくる。肝硬変で最も多いものは、B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルスによるウイ ルス性肝硬変であり、その他自己免疫性肝炎や非アルコール性脂肪肝炎による肝硬変、アルコール性肝硬変、胆汁うっ滞型肝硬変、代謝性肝硬変(ウィルソン病、ヘモクロマトーシス)等がある。
(2)肝疾患の主要症状としては、易疲労感、全身倦怠感、腹部膨満感、発熱、食欲不振、悪心、嘔吐、皮膚そう痒感、吐血、下血、有痛性筋痙攣等の自覚症状、肝萎縮、脾腫大、浮腫、腹水、黄疸、腹壁静脈怒張、食道・胃静脈瘤、肝性脳症、出血傾向等の他覚所見がある。
(3)検査としては、まず、血球算定検査、血液生化学検査が行われるが、さらに、肝炎 ウイルス検査、血液凝固系検査、免疫学的検査、超音波検査、CT・MRI検査、腹 腔鏡検査、肝生検、上部消化管内視鏡検査、肝血管造影等が行われる。
(4)肝疾患での重症度判定の検査項目及び臨床所見並びに異常値の一部を示すと次のとおりである。
検査項目/臨床所見 |
基準値 |
中等度の異常 |
高度異常 |
血清総ビリルビン (mg/dℓ) |
0.3~1.2 |
2.0 以上 3.0 以下 |
3.0 超 |
血清アルブミン |
4.2~5.1 |
3.0 以上 3.5 以下 |
3.0 未満 |
血小板数(万/μ ℓ) |
13~35 |
5 以上 10 未満 |
5 未満 |
プロトロンビン |
70 超~130 |
40 以上 70以下 |
40 未満 |
腹 水 |
― |
腹水あり |
難治性腹水あり |
脳 症(表1) |
― |
Ⅰ度 |
Ⅱ度以上 |
表1 昏睡度分類
昏睡度 |
精 神 症 状 |
参 考 事 項 |
Ⅰ |
睡眠-覚醒リズムに逆転。 |
あとで振り返ってみて判定で きる。 |
Ⅱ |
指南力(時、場所)障害、物をとり違える(confusion) |
興奮状態がない。 |
Ⅲ |
しばしば興奮状態またはせん妄状態を伴 い、反抗的態度をみせる。 |
羽ばたき振戦あり。( 患 者 の 協 力 が え ら れ る 場合) |
Ⅳ |
昏眠(完全な意識の消失)。 |
刺激に対して、払いのける動作、顔をしかめるなどがみられる。 |
Ⅴ |
深昏睡 |
|
(5) 肝疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。
一般状態区分表
区 分 |
一 般 状 態 |
ア |
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ |
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
ウ |
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、 軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ |
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ |
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
(6) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
障害の程度 |
障 害 の 状 態 |
1 級 |
前記(4)の検査成績及び臨床所見のうち高度異常を3つ以上示すもの又は高度異常を2つ及び中等度の異常を2つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
2 級 |
前記(4)の検査成績及び臨床所見のうち中等度又は高度の異常を3つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの |
3 級 |
前記(4)の検査成績及び臨床所見のうち中等度又は高度の異常を 2つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの |
障害認定基準をご説明し、直近の検査結果を送付していただき確認したところ3級に該当する可能性が高いとお話ししたところご依頼となりました。
結果
障害厚生年金3級を取得、年額65万円、遡及で92万円を受給できました。