【質問】腹部大動脈瘤で人工血管に置き換えました。障害年金はもらえますか?
最終更新日: 2026-10-29 社会保険労務士 遠藤 隆
【回答】腹部大動脈瘤だけの人工血管置換は、人工血管の挿入を理由とする障害年金3級の認定基準には含まれていません。ただし、合併症や手術後の後遺症などによっては、別途、受給の可能性を確認する必要があります。
人工血管を挿入した場合の3級の基準に明記されているのは、**胸部大動脈解離、または胸部大動脈瘤〔胸腹部大動脈瘤を含む〕**です。「人工血管を入れた」という事実だけで、すべて同じ扱いになるわけではありません。
人工血管の部位によって、認定の扱いが異なります
| 傷病・部位 | 人工血管挿入に関する認定基準 |
|---|---|
| 胸部大動脈解離〔Stanford分類A型・B型〕 | 人工血管を挿入し、一般状態区分がイまたはウの場合、3級 |
| 胸部大動脈瘤 | 同上 |
| 胸腹部大動脈瘤 | 胸部大動脈瘤に含めて扱う |
| 腹部大動脈瘤のみ | 上記の人工血管挿入による3級の基準には含まれない |
認定基準上、人工血管にはステントグラフトも含まれます。 ただし、ステントグラフトであっても、対象となる傷病・部位や術後の状態を確認します。
一般状態区分の「イ・ウ」とは?
一般状態区分は、症状による活動や生活の制限を示すものです。
| 区分 | 状態の概要 |
|---|---|
| イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限されるが、歩行、軽い家事、事務などはできる |
| ウ | 歩行や身の回りのことはできるが、ときに介助が必要。軽労働はできないものの、日中の半分以上はベッドを離れて過ごしている |
人工血管の挿入だけでなく、こうした状態に該当することも確認されます。 実際の症状や活動制限を主治医に伝え、医学的に評価してもらう必要があります。
手術を受けたら、すぐに請求できますか?
対象となる胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤で、初診日から1年6か月を経過する前に人工血管を挿入置換した場合は、挿入置換日を障害認定日とする特例があります。ただし、「人工血管の手術なら、部位や時期にかかわらず手術日が障害認定日になる」という意味ではありません。初診日からすでに1年6か月を経過している場合は、障害認定日当時と手術後の状態を踏まえて請求方法を確認します。
3級に該当すれば、誰でも受給できますか?
障害基礎年金には3級がありません。 3級の障害厚生年金を受給するには、原則として初診日が厚生年金加入中にあり、保険料納付要件なども満たしている必要があります。申請を検討する際は、次の事項を確認しましょう。
- 正確な傷病名と病変の範囲〔胸部・胸腹部・腹部〕
- 人工血管またはステントグラフトの挿入日
- 原因となった傷病の初診日と、当時の年金加入制度
- 術後の症状、合併症、日常生活・仕事の制限
当センターでは、手術内容と術後の状態を伺い、認定基準に沿って申請の可能性を整理します。
出典・参照(公的機関)
- 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準―心疾患による障害」
- 日本年金機構「かけはし 別冊」
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
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