【質問】兄が植物状態になりました。障害年金は受給できますか?

最終更新日: 2026-10-07 社会保険労務士 遠藤 隆

【回答】はい。お兄様が障害認定基準に定める「遷延性植物状態」に該当する場合、障害年金の障害等級は1級と認定されます。ただし、実際に受給するには、初診日や保険料納付などの要件も満たす必要があります。また、遷延性植物状態には障害認定日の特例があり、条件を満たせば、原則の「初診日から1年6か月」を待たずに請求できる場合があります。

障害年金で遷延性植物状態と認められる6つの条件

 日本年金機構の資料では、次の6項目に該当し、その状態が3か月以上続き、ほぼ固定していることが示されています。「一部の項目に該当するだけで認定される」という基準ではありません。

項目 判断の対象となる状態
移動 自力で移動できない
食事 自力で食物を摂取できない
排泄 尿や便の失禁がある
認識 目で物を追うことはあっても、認識できない
意思疎通 簡単な指示に応じることはあっても、それ以上の意思疎通ができない
発語 声を出すことはあっても、意味のある言葉にならない

 

 これらの状態について、主治医の診断や診断書の記載に基づいて審査されます。ご家族だけで該当の有無を判断せず、現在の状態と経過を主治医に確認することが大切です。

「3か月経過」だけで自動的に受給できるわけではありません

 障害認定日の特例では、その障害の状態に至った日から3か月を経過した日以後に、医学的に機能回復がほとんど望めないと認められることが必要です。ただし、初診日から1年6か月を超える場合は、この特例の対象外となります。

起算日は、単に倒れた日や入院した日ではなく、上記6項目に該当した日です。申請準備では、初診日、6項目に該当した日、その後の経過を整理しましょう。

植物状態と脳死は異なります

 植物状態では脳幹の機能が残り、自発呼吸ができることが多く、回復の可能性が残る場合もあります。一方、脳死は脳幹を含む脳全体の機能が失われ、回復しない状態です。

なお、脳死でも人工呼吸器などによって心臓が動いていることがあります。「脳死とは、呼吸と心拍がすでに停止した状態」という説明は正確ではありません。

よくある質問(FAQ)

Q.植物状態と診断されれば、必ず障害年金を受給できますか?

A.障害認定基準上の遷延性植物状態に該当すれば、等級は1級と認定されます。ただし、受給には初診日や保険料納付などの要件も必要です。診断名だけで支給が確定するわけではありません。

 

Q.初診日から1年6か月を待たずに申請できますか?

A.条件を満たせば可能です。6項目に該当した日から3か月を経過した日以後に、医学的に機能回復がほとんど望めないと認められた場合、障害認定日の特例が適用されます。具体的な請求時期は、主治医と年金事務所に確認してください。

 

Q.本人が意思表示できない場合、家族が手続きを進められますか?

A.ご家族が年金事務所に相談し、必要な手続きを進めることは可能です。ただし、本人の委任の意思が確認できない場合は、通常の委任状による代理手続きとは扱いが異なります。家族関係や本人の状態に応じた必要書類・手続方法を、事前に年金事務所へ確認してください。

 

Q.申請に向けて、まず何を確認すればよいですか?

A.まず、原因となった病気やけがの初診日、当時の年金加入状況、保険料納付状況を確認します。そのうえで、6項目に該当した日や状態の継続期間、回復の見通しについて主治医に確認し、診断書などの準備を進めます。

詳しくは、「植物状態」になった方への障害年金もご覧ください。

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社会保険労務士 遠藤 隆
社会保険労務士 遠藤 隆
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