【質問】給料が高いと、障害年金は支給停止になりますか?

最終更新日: 2026-10-29 社会保険労務士 遠藤 隆

【回答】障害年金には原則として所得制限がないため、給料が高いという理由だけで支給停止にはなりません。ただし、年金未加入期間に初診日がある「20歳前傷病による障害基礎年金」には、本人の所得による支給制限があります。

 また、所得制限とは別に、更新時には障害の状態が確認されます。「所得による支給停止」と「障害状態の審査」は、分けて考えることが大切です。

 

所得制限があるのは、どのような障害年金ですか?

 所得制限の対象となるのは、原則として、公的年金に加入していない20歳前の期間に初診日がある傷病による障害基礎年金です。保険料の納付を要件としない給付であるため、本人に一定以上の所得があると、年金の半額または全額が支給停止になります。

 「20歳前に発病した」というだけで決まるわけではありません。初診日がいつか、その日に年金制度へ加入していたかを確認する必要があります。20歳前でも厚生年金加入中に初診日がある場合は、障害厚生年金の対象となり、この所得制限とは扱いが異なります。

20歳前傷病による障害基礎年金は、所得がいくらあると止まりますか?

 日本年金機構が公表する2026年10月時点の基準は、扶養親族がいない場合、次のとおりです。

前年の本人の所得額 所得制限による取扱い
385万8,000円以下 支給停止なし
385万8,000円超~491万8,000円以下 年金の2分の1を支給停止
491万8,000円超 年金の全額を支給停止

 

 扶養親族がいる場合は、人数や区分に応じて所得制限額が加算されます。前年の所得に基づき、10月分から翌年9月分までの支給が判断されます。判定に使う「所得」は、給与の額面年収や手取り額とは異なります。 給与収入だけの場合も、給与所得控除や制度上の控除などを踏まえて確認するため、「年収がいくらなら必ず止まる」と一律に判断しないようにしましょう。

所得制限がなければ、働いても更新に影響しませんか?

 働いていることだけで、障害年金が直ちに支給停止になるわけではありません。 ただし、障害の種類によっては、仕事内容や勤務状況も障害状態を判断する材料になります。

特に精神障害について、厚生労働省の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」は、就労している事実だけで日常生活能力が向上したと判断せず、次のような実態を確認するよう示しています。

  • 仕事の種類や内容、勤務状況
  • 職場で受けている援助や配慮
  • 上司・同僚との意思疎通の状況
  • 治療の状況や、援助・配慮がない場合に予想される状態

そのため、給与額だけを見て「障害が軽くなった」と決めるものではありません。更新時には、職場の配慮があって働けている状況や、日常生活で必要な支援も、主治医に具体的に伝えることが大切です。

 

出典・参照(公的機関)

  • 日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」
  • 厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第12 障害年金」
  • 厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」

 

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社会保険労務士 遠藤 隆
社会保険労務士 遠藤 隆
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