【質問】知的障害の子どもがいます。初診の病院が廃院し、初診日の証明書を取れません。障害年金は受給できませんか?
最終更新日: 2026-10-29 社会保険労務士 遠藤 隆
【回答】生まれながらの知的障害であれば、初診の病院が廃院していても、障害年金を申請できます。生来の知的障害は「出生日」を初診日として審査するため、原則として受診状況等証明書による初診日の証明は不要です。
日本年金機構も、生来の知的障害については、療育手帳の交付の有無にかかわらず、初診日の証明は不要と案内しています。「病院がなくなって証明書が取れない」という理由だけで、申請を諦める必要はありません。
療育手帳があれば、初診日の証明の代わりになりますか?
「療育手帳があるから初診日の証明が不要」なのではなく、「生来の知的障害だから不要」という取扱いです。療育手帳は、知的障害の状態を確認する資料になりますが、手帳のコピーだけで障害年金の申請が完了するわけではありません。障害年金用の診断書や、出生から現在までの生活・就学・就労状況を記載した「病歴・就労状況等申立書」などを準備します。
一方、高熱などが原因で後天的に知的障害が生じた場合や、知的障害を伴わない発達障害の場合は、初診日の扱いが異なります。療育手帳を持っていても、初診日を確認する資料が必要になることがあります。
療育手帳の等級で、障害年金の受給が決まりますか?
療育手帳の区分と、障害年金の等級は別の基準です。 手帳を持っているだけで、障害年金の受給が決まるわけではありません。療育手帳の名称・区分・判定基準は自治体によって異なるため、「Aなら必ず年金1級」「Bなら受給できない」といった判断はできません。厚生労働省も、療育手帳制度は各自治体が運用方法を定めて実施していると説明しています。
障害年金の認定では、知能指数だけでなく、日常生活でどのような援助が、どの程度必要かを含めて総合的に判断します。食事、身支度、金銭管理、買い物、対人関係などについて、本人だけでは難しいことと、家族などが行っている支援を具体的に整理しましょう。
保険料を納めていなくても申請できますか?
生来の知的障害による20歳前傷病の障害基礎年金は、保険料納付要件を問いません。 原則として20歳以降、障害基礎年金の1級または2級に該当する状態であれば、受給の対象となります。まずは療育手帳やこれまでの資料を用意し、市区町村の国民年金窓口または年金事務所で、「生来の知的障害による請求で、初診の病院は廃院している」と伝えて相談してください。
出典・参照(公的機関)
- 日本年金機構「かけはし 第59号」Q8~Q11
- 日本年金機構「先天性の病気などにより20歳前から障害がありますが、障害基礎年金を受けることができますか。」
- 日本年金機構「障害年金」
- 厚生労働省「障害者手帳について」
- 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
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