【質問】1型糖尿病は、失明や手足の切断をしないと障害年金をもらえませんか?

最終更新日: 2026-10-30 社会保険労務士 遠藤 隆

【回答】いいえ。失明や手足の切断に至っていなくても、障害年金の対象になる場合があります。必要なインスリン治療を続けても血糖コントロールが困難で、所定の検査結果や生活・労働上の制限がある場合には、障害等級3級などに認定される可能性があります。

 ただし、「1型糖尿病と診断された」「インスリン治療をしている」という事実だけで、受給が決まるわけではありません。 日本年金機構の認定基準では、検査結果、治療経過、合併症、具体的な日常生活状況などを総合的に判断します。

 

血糖コントロールが困難な糖尿病の3級認定基準は?

日本年金機構の案内では、次の①~③をすべて満たすことが基本となります。

① 検査日より前に、90日以上継続して必要なインスリン治療を行っていること

② 次の3項目のうち、いずれか1つに該当すること

項目 確認する状態
インスリン分泌の枯渇 空腹時または随時の血清Cペプチド値が0.3ng/mL未満
重症低血糖 意識障害により自己回復できない重症低血糖が、平均して月1回以上
高血糖による入院 インスリン治療中に、糖尿病ケトアシドーシスまたは高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上

※Cペプチド値は、自分の膵臓から分泌されるインスリンの状態を確認する指標です。

 

③ 診断書の「一般状態区分表」で、イまたはウに該当すること

②の検査値や症状だけでなく、③の生活・労働上の制限も確認されます。

 

「一般状態区分のイ・ウ」とは、どのような状態ですか?

一般状態区分表は、日常生活や活動の制限を示すものです。該当する状態の概要は、次のとおりです。

区分 状態の概要
イ 肉体労働には制限があるものの、歩行や軽い家事、事務などはできる状態
ウ 歩行や身の回りのことはできるが、ときに介助が必要で、軽労働はできない状態。日中の半分以上はベッドを離れて過ごしている

実際の症状と生活状況に基づき、医師に判断してもらう必要があります。

 

初診日が国民年金の加入中でも、申請できますか?

 障害基礎年金には3級がないため、3級相当の状態だけでは受給できません。 障害厚生年金3級の対象となるには、原則として、糖尿病の初診日が厚生年金の加入期間中にあることが必要です。ただし、「1型糖尿病は必ず3級」「国民年金なら対象外」と決まっているわけではありません。 症状、検査結果、具体的な日常生活状況によっては、2級以上に認定される場合もあります。

網膜症や腎症などの合併症がある場合は?

 糖尿病性網膜症は眼の障害、糖尿病性腎症は腎疾患、糖尿病性壊疽による運動障害は肢体の障害など、それぞれの認定基準で判断されます。失明や切断だけが、障害年金の対象となる状態ではありません。申請を検討するときは、Cペプチド値、重症低血糖の頻度と介助の内容、入院歴、生活や仕事での制限を整理し、主治医や年金事務所などに相談しましょう。

 

出典・参照(公的機関)

  • 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第15節 代謝疾患による障害」
  • 日本年金機構「代謝疾患(糖尿病)の障害認定基準を一部改正します」
  • 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」

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社会保険労務士 遠藤 隆
社会保険労務士 遠藤 隆
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