【質問】労災保険の障害補償年金と、障害厚生年金は両方受け取れますか?

最終更新日: 2026-10-30 社会保険労務士 遠藤 隆

【回答】はい。それぞれの受給要件を満たせば、両方受け取れます。ただし、同一の事由による障害補償年金と障害厚生年金を受給する場合は、原則として労災年金側が減額調整されます。障害厚生年金は、この併給調整によって減額されません。

 「どちらか一方しか受け取れない」という仕組みではありませんが、両方がそのまま満額支給されるわけでもありません。厚生労働省も、同一の事由による併給では、労災年金側に調整率を適用すると案内しています。

 

労災年金は、どのくらい減額されますか?

 労災の障害(補償)等年金と、同一の事由による障害年金を受け取る場合の調整率は、次のとおりです。

併給する公的年金 労災の障害(補償)等年金に掛ける調整率
障害厚生年金+障害基礎年金 0.73
障害厚生年金のみ 0.83
障害基礎年金のみ 0.88

 

 例えば、障害厚生年金と障害基礎年金の両方を受給する場合、原則として労災年金本体の額に0.73を掛けて調整します。障害厚生年金を受けている方すべてに、0.83を適用するわけではありません。

調整によって、労災年金だけの場合より少なくなりませんか?

 調整後の労災年金と、併給する公的年金の合計が、調整前の労災年金額を下回らないようにする仕組みがあります。そのため、調整率を掛けた金額だけで判断せず、併給する年金額を含めて確認する必要があります。

なぜ、両方を満額で受け取れないのですか?

 同じ事故や病気に対し、両制度が所得の喪失を補うためです。厚生労働省は、給付の合計が被災前の賃金を上回る場合があることや、事業主の保険料負担が重複することなどを、調整の理由として説明しています。

労災給付なら、すべて同じ調整になりますか?

 給付の種類や、併給する年金によって取扱いが異なります。 上の表は、労災の障害(補償)等年金についてのものです。傷病(補償)等年金や休業(補償)等給付には、別の調整率が適用される場合があります。

労災と同一の事由による障害年金を受給している場合や、受給を予定している場合は、労災給付の請求書に記載し、労働基準監督署へ申告してください。具体的な支給額は、給付の種類と年金額を伝えて確認しましょう。

 

出典(公的機関):厚生労働省「7-1 労災保険給付と厚生年金の両方を受け取ることはできるのでしょうか。」

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社会保険労務士 遠藤 隆
社会保険労務士 遠藤 隆
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