【質問】生まれつき左手首から先がありません。20歳当時は通院しておらず、当時の診断書を取れません。障害年金の遡及請求はできますか?

最終更新日: 2026-10-29 社会保険労務士 遠藤 隆

【回答】20歳当時の診断書を取得できなくても、遡及請求できる可能性があります。先天性の欠損で、20歳当時も現在と同じ障害状態だったことを医学的に確認できる場合は、現在の診断書や補足資料を用いて請求を検討できます。

 ただし、「先天性の障害なら、現在の診断書1枚で必ず遡及できる」という意味ではありません。 障害の部位・状態・経過を踏まえ、必要な資料を個別に確認することが大切です。

 

左手首から先がない場合、障害年金は何級ですか?

 生まれつき左手首から先がない場合は、通常、障害等級2級の「一上肢の全ての指を欠くもの」に該当する状態として確認します。日本年金機構の障害認定基準では、この項目を「一上肢の全ての指を基部から欠き、有効長が0のもの」としています。実際の認定には、診断書などによる欠損部位・範囲の確認が必要です。

遡及請求には、必ず当時と現在の診断書2枚が必要ですか?

 原則として、障害認定日から1年以上経過して請求する場合は、障害認定日当時と請求時点の診断書が必要です。一方、日本年金機構は、症状固定で障害認定日請求を行う場合には、診断書が原則2枚必要という取扱いに例外があることを案内しています。

 先天性の欠損のように、過去から状態が変わっていない障害では、このような取扱いを含め、当時の状態をどの資料で確認できるか検討します。20歳当時に通院していなかったという理由だけで、直ちに遡及請求を諦める必要はありません。

どのような資料を準備すればよいですか?

 主治医や年金事務所へ、次の事項を確認できる資料について相談しましょう。

確認する事項 資料の例
生まれつきの欠損であること 現在の診断書、出生時・幼少期の医療記録
欠損している部位と範囲 診断書、画像検査、身体障害者手帳の交付時資料
20歳当時も同じ状態だったこと 過去の診断書、手帳関係資料、幼少期からの写真など
現在までの経過 病歴・就労状況等申立書、治療・手術の記録など

 これらは準備を検討する資料の例です。写真や手帳があれば、それだけで認定されるわけではありません。 診断書に記載できる内容と併せて、提出資料を確認してください。また、初診日が20歳前にあることの確認と、20歳時点の障害状態の確認は別の事項です。先天性という理由だけで、必要な確認がすべて省略されるわけではありません。

20歳から現在までの年金を、すべて受け取れますか?

 20歳時点で受給要件を満たしていたと認められても、実際にさかのぼって受け取れる年金は、原則として時効により5年分が限度です。 支給開始は、原則として20歳に達した日の翌月分になります。なお、20歳前の年金未加入期間に初診日がある障害基礎年金には、本人の所得による支給制限があります。遡及認定された場合も、対象期間の所得などによって支給額が調整されることがあります。

 

 当センターでは、現在の診断書に加え、過去の資料や障害の経過を確認し、遡及請求の可能性と必要書類を整理します。「20歳当時の診断書がない」という段階でも、まずはご相談ください。

 

出典・参照(公的機関)

  • 日本年金機構「障害等級表」「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
  • 日本年金機構「かけはし 第84号」―症状固定による認定日請求の診断書の例外
  • 日本年金機構「先天性の病気などにより20歳前から障害がありますが、障害基礎年金を受けることができますか。」
  • 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
 
 
 

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社会保険労務士 遠藤 隆
社会保険労務士 遠藤 隆
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