【質問】初診のクリニックは国民年金加入中でしたが、2番目のクリニックは厚生年金加入中でした。2番目のクリニックを初診に出来ませんか?
最終更新日: 2026-10-07 社会保険労務士 遠藤 隆
【回答】同じ病気やけがによる受診であれば、厚生年金加入中だった2番目のクリニックを、希望によって初診日にすることはできません。
障害年金の初診日は、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日です。転院しても、原則として最初の医療機関を受診した日が初診日になります。
ただし、最初の受診後に「社会的治癒」が認められる期間があり、その後に再発した場合は、再発後の受診日を初診日として扱える可能性があります。「5年以上通院していなければ、初診日を変更できる」という一律の制度ではありません。
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初診日は、病院を変えた日や診断が確定した日とは限りません
例えば、国民年金加入中に膝の痛みで受診し、その後、厚生年金加入中に別の病院へ転院した場合、同じ病気による一連の受診であれば、原則として最初の受診日が初診日です。
2番目のクリニックで受診状況等証明書を作成してもらっても、その医療機関の初診日が、そのまま障害年金上の初診日になるわけではありません。前医の受診歴がある場合は、その病気と今回の障害との関係を確認する必要があります。
初診日の加入制度によって、請求できる年金が変わります
| 初診日の加入状況 | 原則として対象となる障害年金 |
|---|---|
| 国民年金加入中 | 障害基礎年金(1級・2級) |
| 厚生年金加入中 | 障害厚生年金(1級・2級・3級)。1級・2級では障害基礎年金も対象 |
現在や転院時の加入制度ではなく、初診日時点の加入状況が重要です。また、どちらの場合も、障害状態や保険料納付などの受給要件を満たす必要があります。
社会的治癒が認められると、再発後の初診日で判断される場合があります
社会的治癒とは、医学的な完治に至っていなくても、治療を必要としなくなり、通常の社会生活に復帰した状態が相当期間続いている場合に、社会保険上、治癒と同様に扱う考え方です。
これが認められれば、その後の再発について初めて受診した日を、障害年金の初診日として扱える場合があります。
判断にあたっては、次のような事情を整理します。
- 治療を終えた経緯と、その後の治療の必要性
- 通院・服薬の有無と内容
- 症状が落ち着いていた期間
- その間の日常生活や就労状況
- 再発した時期と、再受診に至った経緯
単に通院していなかったのか、治療を必要としない状態だったのかを区別することが重要です。
「おおむね5年」は、自動的に認められる条件ではありません
社会的治癒については、国会答弁で「5年程度」が実務上の一つの目安として示されています。一方で、5年を経過すれば一律に社会的治癒になるものではないことも説明されています。
症状が続いていたのに、経済的な事情や自己判断で受診を中断していた場合などは、未受診期間の長さだけでは社会的治癒を裏付けられません。
「受診歴をリセットする」と考えるのではなく、治療の必要がなく、通常の生活を送っていた期間があったかを、資料に基づいて検討します。
申請前に、受診歴と未受診期間の生活状況を整理しましょう
まず、最初のクリニックの受診期間、通院を終えた理由、次のクリニックを受診するまでの症状・生活・仕事の状況を、時系列でまとめます。
診療録、紹介状、医師の説明、勤務状況を確認できる資料などがあれば、社会的治癒を検討する際の参考になります。過去の受診歴も含めて正確に伝え、初診日の扱いを確認することが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q.2番目のクリニックで初めて病名が付いた場合、その日が初診日になりますか?
A.必ずしもそうではありません。初診日は診断が確定した日ではなく、原因となった病気やけがについて初めて診療を受けた日です。最初のクリニックの受診が同じ病気によるものであれば、原則としてその日までさかのぼります。
Q.5年以上、病院に行っていなければ社会的治癒になりますか?
A.期間だけでは決まりません。治療を必要としない状態で、通常の社会生活を送っていたかなどを確認します。5年程度は一つの目安であり、自動的な認定条件ではありません。
Q.社会的治癒が認められれば、障害厚生年金を請求できますか?
A.再発後の初診日が厚生年金加入中であれば、障害厚生年金の対象となる可能性があります。ただし、その初診日に基づく保険料納付要件や障害状態なども、改めて確認する必要があります。
Q.初診日が国民年金加入中なら、障害年金を諦めるしかありませんか?
A.いいえ。障害状態が1級または2級に該当し、ほかの受給要件を満たせば、障害基礎年金を受給できる可能性があります。厚生年金加入中の受診日を初診日にできないことと、障害年金を受給できないことは別です。
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