【社労士監修】高次脳機能障害で障害年金はもらえる?認定基準・等級・受給事例を徹底解説

最終更新日: 2026-5-20 社会保険労務士 遠藤 隆

【結論】高次脳機能障害は、障害年金の支給対象となる代表的な疾患の一つです。

脳梗塞や脳出血、交通事故による頭部外傷などが原因で認知機能に障害が生じた場合、障害年金を受給できる可能性があります。受給の成否を分けるのは、病名や症状そのものの重さではなく、「日常生活や就労にどれだけの支障が出ているか」という実態です。

この記事はこのような方に向いています。

✅ 高次脳機能障害と診断され、障害年金がもらえるのか知りたい方
✅ 見た目には分かりにくいため、日常生活の苦労が周囲に伝わらず悩んでいる方
✅ 働きながら(障害者雇用など)でも障害年金を受給できるのか知りたい方
✅ 障害年金の申請を自分で進めるか、専門家に依頼するか迷っている方

この記事の目次

  • 【結論】高次脳機能障害は障害年金の対象!受給の鍵は「日常生活能力」
  • 高次脳機能障害とは
  • 障害年金の対象となる高次脳機能障害の主な症状とは
  • 高次脳機能障害で障害年金が認められやすいケース
  • 高次脳機能障害で障害年金をもらうための3つの基本受給条件
  • 【等級目安】高次脳機能障害の障害年金認定基準(1級・2級・3級)
  • 受給できる年金額の目安(2026年度)
  • 高次脳機能障害で障害年金の受給を左右する3つの最重要ポイント
  • 高次脳機能障害の受給事例(新横浜・川崎障害年金相談センターの実績)
  • 高次脳機能障害で障害年金が「不支給」になりやすい注意点
  • 高次脳機能障害の障害年金に関するよくある質問(FAQ)
  • まとめ|見えにくい高次脳機能障害だからこそ専門家へ相談を

【結論】高次脳機能障害は障害年金の対象!受給の鍵は「日常生活能力」

高次脳機能障害によって生活や就労に支障が出ている場合、障害年金の受給が可能です。 障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、障害の程度に応じて1級〜3級までの等級が定められています。審査において最も重視されるのは、病名そのものではなく「一人で安定して日常生活を送れるか」という点です。当センターでも多くの受給実績がありますが、外見では分かりにくい障害だからこそ、書類の上で生活の困難さを正しく証明することが受給への鍵となります。

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • くも膜下出血
  • 頭部外傷

などにより発症する脳機能障害であり、身体麻痺が軽くても

  • 記憶
  • 判断
  • 注意
  • 感情コントロール

に重大な障害が残ることがあります。

障害年金の対象となる高次脳機能障害の主な症状とは

高次脳機能障害とは、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)や、交通事故などによる頭部外傷によって脳がダメージを受け、認知機能に障害が生じた状態を指します。 障害年金の対象となる主な症状は以下の5つです。

症状の分類
具体的な状態の例
記憶障害
新しいことを覚えられない、何度も同じことを繰り返し質問する、約束を忘れる
注意障害
集中力が続かない、簡単なミスを連発する、二つのことを同時にできない
遂行機能障害
計画を立てて行動できない、段取りが分からない、指示がないと動けない
社会的行動障害
感情のコントロールができない、突然怒り出す、意欲がわかず引きこもる
意思疎通の障害
相手の話を理解できない、言葉がうまく出てこない(失語症など)

👉 外見からは障害があるように見えにくいため、周囲から「怠けている」「少し変わった人」と誤解されやすく、ご本人やご家族が孤立してしまうケースが少なくありません。

高次脳機能障害で障害年金が認められやすいケース

  • 一人で金銭管理ができない
  • 服薬管理ができない
  • 家族の見守りが必要
  • 就労に特別な配慮が必要
  • 約束や指示を頻繁に忘れる

高次脳機能障害で障害年金をもらうための3つの基本受給条件

高次脳機能障害で障害年金をもらうための条件は、以下の3つの要件をすべて満たすことです。 これは他の傷病とも共通する障害年金制度の根幹となる条件です。

  1. 初診日要件:高次脳機能障害の原因となった病気や怪我で、初めて医師の診察を受けた日(初診日)が特定でき、その日に年金制度に加入していること。
  2. 保険料納付要件:初診日の前日において、一定以上の年金保険料を納付(または免除)していること。
  3. 障害認定日要件:原則として初診日から1年6ヶ月が経過した「障害認定日」以降に、国が定める障害等級の基準に該当していること。

【等級目安】高次脳機能障害の障害年金認定基準(1級・2級・3級)

日本年金機構の障害認定基準では、高次脳機能障害は「精神の障害」として評価され、日常生活能力及び労働能力の制限の程度によって等級が決定されます。厚生労働省の認定基準をわかりやすく表にまとめると以下のようになります。

等級 状態の目安 受給できる年金
1級 日常生活のほぼすべてにおいて常時援助(介助・見守り)が必要な状態。一人での生活は不可能であり、家庭内でも身の回りのことに多大な支援を要する。
障害基礎年金障害厚生年金
2級 日常生活に著しい制限がある状態。一人での生活は非常に困難であり、家族などの見守りや声かけ(援助)が不可欠。就労していても強い配慮が必要。
障害基礎年金障害厚生年金
3級 日常生活は概ね一人でできる部分もあるが、労働に大きな制限がある状態。仕事でのミスが多く、障害に対する配慮がないと勤務を継続できない。
障害厚生年金のみ

👉 障害基礎年金は1級・2級までしかありません。もし初診日に国民年金に加入していた場合は、2級以上に該当しなければ不支給となってしまいます。初診日に厚生年金に加入していれば、3級でも受給可能です。

受給できる年金額の目安(2026年度)

 ・障害基礎年金(初診日に自営業・主婦・学生など)

   1級:年額 1,059,125円 + 子の加算
   2級:年額  847,300円 + 子の加算

 

 ・障害厚生年金(初診日に会社員・公務員など)

   1級・2級:上記の基礎年金に加え、報酬比例部分が加算
   3級:最低保証額 635,500円(加入期間や過去の収入によってそれ以上になる場合あり)

高次脳機能障害で障害年金の受給を左右する3つの最重要ポイント

高次脳機能障害の障害年金申請において、審査を左右する特に重要なポイントは以下の3点です。

①「できるか」ではなく「一人で安定してできるか」

診察室で医師に「ご飯は食べられますか?」「着替えはできますか?」と聞かれ、「できます」と答えてしまうケースが多々あります。

しかし、実際には「家族が用意して声かけをしないと食べない」「服の前後を間違えるので手伝っている」という状態であれば、それは「一人でできている」とは言えません。

👉 障害年金の審査では、この「他人の援助や見守り、声かけがどれだけ必要か」が評価の核心となります。

②就労していても(働きながらでも)受給できる

「働いているから障害年金はもらえない」というのは大きな誤解です。

  • 障害者雇用枠で働いている
  • 業務内容が大幅に限定されている(単純作業のみ、など)
  • 職場の理解があり、常に指示やフォローを受けながら働いている

このような「手厚い職場配慮」を受けている場合は、就労していても2級や3級に認定される可能性が十分にあります。

③医師が書く「診断書」の質で結果が決まる

高次脳機能障害はレントゲンや血液検査の数値だけで障害の重さを証明することが難しいため、医師が作成する「診断書」の記載内容が結果のすべてを握ります。 日常生活での具体的な失敗エピソードや、家族がどのようなサポートをしているかが診断書に細かく反映されている必要があります。

高次脳機能障害の受給事例(新横浜・川崎障害年金相談センターの実績)

当センター(新横浜・川崎障害年金相談センター)で、実際に障害年金の受給につながった高次脳機能障害の事例をご紹介します。

【受給事例①】

高次脳機能障害で家族の手助けがなければ生活が困難な状況となり障害基礎年金2級を取得、年額107万円、遡及で427万円を受給できたケース

【受給事例②】

高次脳機能障害で常時会社と家族の援助が必要となり、障害厚生年金3級を受給できたケース

高次脳機能障害で障害年金が「不支給」になりやすい注意点

高次脳機能障害は、申請の進め方を誤ると「不支給(年金がもらえない)」になるリスクが高い傷病です。特に以下の3点に注意が必要です。

  • 医師の前で「元気です」と取り繕ってしまう:患者様ご本人に病識(病気であるという自覚)が薄い場合、診察時に「問題ありません」と答えてしまい、実態より軽い診断書が書かれてしまう。
  • 就労状況が過大評価される:診断書に「一般企業で勤務」とだけ書かれ、職場の特別な配慮や欠勤の多さが考慮されずに不支給になる。
  • 病歴就労状況等申立書との矛盾:ご家族が書く「申立書」の内容と、医師が書く「診断書」の内容に矛盾があると、書類の信頼性が低いとみなされてしまう。

👉 障害年金の申請で一度「不支給」の決定が下りてしまうと、その後に覆すのは非常に困難です。最初から実態を正確に反映した書類を揃えることが極めて重要です。

高次脳機能障害の障害年金に関するよくある質問(FAQ)

Q. 高次脳機能障害と診断されていれば、必ず障害年金はもらえますか?

A. いいえ、診断名があるだけで自動的に受給できるわけではありません。 障害年金は「高次脳機能障害によって、日常生活や労働にどれだけの支障が出ているか」が審査されます。症状が軽微で、周囲のサポートなしで自立した生活や一般的な就労ができていると判断された場合は、不支給となることがあります。

 

Q. 身体の麻痺(肢体障害)はありませんが、精神の基準だけで申請できますか?

A. はい、身体麻痺がなくても「精神の障害(認知障害・行動障害)」として申請可能です。 高次脳機能障害は、身体の障害(手足の麻痺など)と精神の障害(記憶・注意・社会的行動障害など)が併発することが多いですが、身体に麻痺が残らなかった場合でも、認知機能の障害だけで2級や3級、あるいは1級に認定されるケースは多々あります。両方ある場合は総合評価されます。

 

Q. 障害手帳(身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳)を持っていなくても応募できますか?

A. はい、障害者手帳をもっていなくても障害年金の申請・受給は可能です。 障害者手帳と障害年金は、それぞれ全く異なる法律・基準に基づいて運営されている別制度です。「手帳の等級が低いから」「手帳を持っていないから」という理由で障害年金がもらえないということはありません。

 

Q. 交通事故の相手方から自賠責保険や賠償金をもらっていても、障害年金はもらえますか?

A. はい、もらえますが、一定期間(最長3年間)は支給調整(支給停止)が行われることがあります。 交通事故による頭部外傷の場合、相手方の自賠責保険や対人賠償保険から同一の事由で損害賠償を受けた時は、障害年金の支給が最大3年間停止される仕組みがあります。ただし、調整期間が終了すれば支給は再開されますし、ケースによって調整の対象外となる部分もあるため、早めの確認が必要です。

 

Q. 障害年金をもらうと、将来もらえる老齢年金が減ってしまいますか?

A. いいえ、障害年金をもらっても、将来の老齢年金の受給額が減ることはありません。 障害年金を受け取ったことが原因で、将来受け取る老齢年金が減額されるようなデメリットはありませんので、安心して申請してください。なお、65歳以降は「障害年金」か「老齢年金」のどちらか有利な方を選択(または一部併給)することになります。

まとめ|見えにくい高次脳機能障害だからこそ専門家へ相談を

高次脳機能障害における障害年金のポイントを振り返ります。

  • 高次脳機能障害は障害年金の支給対象であり、働きながらでも受給できる可能性がある
  • 審査では「できるか」ではなく「他人の援助や見守りなしで、一人で安定してできるか」が問われる
  • 外見からは分かりにくいため、医師への実態伝達と、診断書の完成度が合否を分ける

高次脳機能障害の申請は、ご本人に障害の自覚が薄いケースや、ご家族が日々の介護で疲れ果ててしまい手続きを行う余裕がないケースが多く見られます。「新横浜・川崎障害年金相談センター」では、高次脳機能障害の特性を深く理解した社労士が、医師への橋渡しから書類作成まで全面的にサポートいたします。

ご相談について

「自分の症状で障害年金がもらえるのか分からない」「医師にどうやって日常生活の困りごとを伝えたらいいか迷っている」という方は、ぜひ一度当センターへご相談ください。高次脳機能障害に関する豊富な受給実績をもとに、受給の可能性や今後の進め方を丁寧にお伝えいたします。

状況に応じた具体的な進め方については、無料相談で個別にご案内しています。

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