知的障害で申請を考えている方へ

「知的障害」とは

知的障害は精神遅滞とも表される、知的発達の障害です。

知的機能や適応機能に基づいて判断され、重症度により軽度、中等度、重度、最重度に分類されます。様々な中枢神経系疾患が原因となるため、正しい診断を受けて、早期に治療・療育・教育を行う必要があります。本人のみならず、家族への支援も欠かせない発達障害のひとつです。

有病率は一般人口の約1%であり、年齢によって変動します。男女比はおよそ1.6:1(軽度)~1.2:1(重度)です。

知的機能は知能検査によって測られ、平均が100、標準偏差15の検査では知能指数(Intelligence Quotient, IQ)70未満を低下と判断します。

症状が重ければ年齢の若いうちから気づかれ、軽いと診断も遅くなります。幼児期には言葉の遅れ、たとえば言葉数が少ない・理解している言葉が少ないといった症状から疑われます。

また合併症が先に気づかれて、後に知的障害(精神遅滞)とわかることもあります。原因としては、染色体異常・神経皮膚症候群・先天代謝異常症・胎児期の感染症・中枢神経感染症・脳奇形・てんかんなど発作性疾患があげられ、多岐にわたっています。

適応機能とは、日常生活でその人に期待される要求に対していかに効率よく適切に対処し、自立しているのかを表す機能のことです。たとえば食事の準備・対人関係・お金の管理などを含むもので、年長となって社会生活を営むために重要な要素となるものです。

 

1.知的障害の種類

知的障害の診断・重症度は、知的能力を表すIQ(知的指数)と日常生活への適応能力を総合的にみた上で、これが発達期(18歳以下)に発症したかどうかで判断をしていきます。重症度は「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4つに分けられます。

知的障害の重症度を診断する指標の一つとして、知的能力を表すIQ(知能指数)があります。IQは知能検査によって測定され、IQが低ければ低いほど重症度が大きくなります。最も多く用いられるものはウェクスラー系知能検査で、2歳6ヶ月~7歳3ヶ月の幼児用「WPPSI」、5歳0ヶ月~16歳11ヶ月までの児童用「WISC」、16歳0カ月~90歳11カ月までの成人用「WAIS」があります。

重症度

IQ

軽度

約50~70

中等度

約36~49

重度

約20~35

最重度

約19以下

IQ(知能指数)で重症度をおおまかに分類することができますが、IQだけで判断されるわけではありません。IQが70以下でも適応能力が高ければ、知的障害ではないと判断される場合もあります。

知的障害の特徴は、重症度によって異なってきます。代表的な例は以下になります。

  • 軽度
    ・支援があれば、読字や金銭などの概念を理解することができ、また買い物や家事なども1人でできるようになる。
    ・コミュニケーションはパターン化されていることが多く、ほかの人と比べると未熟である。
    ・記憶や計画、感情のコントロールなどが苦手である。
  • 中等度
    ・読字や金銭などの概念は小学生レベルにとどまり、常に支援が必要である。また買い物や家事など1人でできるようになるまでは長い時間をかけて支援が必要である。
    ・単純なコミュニケーションであればできる。
    ・判断や意思決定をすることが難しく、支援が必要である。

  • 重度
    ・読字や金銭などの概念について、ほとんど理解することが難しく、常に支援が必要である。また食事や身支度、入浴などを含むすべての日常生活上の行動では、継続的な支援が必要である。
    ・身振りや、単語・句を区切った単純なコミュニケーションであればできる。

  • 最重度
    ・認識できるものは目の前にある物理的なものに限り、常に支援が必要である。また食事や身支度、入浴などを含むすべての日常生活上の行動では、他者の支援がないと難しい状況である。
    ・身振りや、単語・句を区切ったコミュニケーションでも理解が難しいこともある。

2.知的障害の治療

知的障害の医学的治療法は確立されていません。障害を完治させることはできませんが、対応法を工夫したりすることによって、困難さを軽減し、子どものよい部分を伸ばしていくことは可能です。

また、学齢期においては特別支援教育をはじめとする支援をうけることで、その子に合った学びの環境を整えることができます。成人後は就職支援なども受けることができます。知的障害のある方でも、このようにサポートの活用により職場を見つけ働いている方は大勢います。

 3.障害認定基準

障害認定基準によると知的障害による障害の程度は、次により認定されます。

(1) 知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常 生活に持続的な支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるものをいう。

(2) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

障害の程度

障 害 の 状 態

1 級

知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が

必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難で

あるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの

2 級

知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行う

のに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なもの

に限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの

3 級

知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの

(3) 知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。また、知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加 重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

(4) 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

(5) 就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

 

4.申請にあたっての注意点

知的障害のお子様をお持ちのお母様からのご相談が多いのですが、ご自分ではできないので社労士にお願いしたいという理由の他に、ご自分で申請して不支給になったというご相談も少なくありません。

知的障害をお持ちの方は、治療して治るというものではありませんので、普段は通院していない方が大部分です。従いまして診断書を書いてもらう段階になって医者を探し、1回の受診で書いてもらいます。

ただ先生は普段の生活状況を把握している訳ではありませんので、実態とは異なる内容の診断書になることは想像に難くありません。どちらかと言いますと障害の程度が軽めの診断書に仕上がってくることが多いのです。

お母様はこの診断書で年金が認められるか判断が付きませんので、そのまま申請して不支給決定になる訳です。従いまして大切なことは、1回の受診で普段の生活状況をいかに先生に伝えきるかという事になります。

また軽度知的のお子様の場合、一般企業の障害者雇用や特例子会社で就労されている方が多いのですが、大企業でフルタイム勤務をしていますと結構な金額の給与をもらっている場合があります。

診断書には就労状況と給与額を記入する欄がありますので、当然この欄に書き込まれるのですが、年金機構からしっかり働けていると判断され不支給決定になることがあります。

実際は会社から様々な配慮をされて初めてできている状況なのですが、書面審査なのでそのような状況は保険者には判りません。従いましてどのような配慮を受けて就労しているかを明確にして申請する必要がある訳です。

 

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