就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつです。一般企業への就職を目指す障害のある方(65歳未満)を対象に就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートをおこないます。
就労移行支援事業所は、学校のように通いながら就職に向けたサポートを受けることができる場所です。職業訓練では、職業スキルはもちろん体調管理やコミュニケーションなど働き続けるために必要な知識を研修や職場実習で学ぶことができます。
また、就職活動ではキャリアカウンセリングや応募書類作成、面接対策などのサポート、職場定着支援では入社後の相談対応や企業への環境調整依頼などを行っています。
厚生労働省の社会福祉施設等調査によると、2016年時点で就労移行支援事業所数は3323ヶ所、利用者数は約3万1000人です。就労移行支援事業所を利用して一般企業へ就職する人は年々増えています。
1.就労移行支援施設を利用できる方
就労移行支援事業所を利用するために必要な条件は次の4つです。4つすべての条件を満たしている方が利用できるサービスです。
①一般企業で働くことを希望する方
※就労継続支援A型やB型等の福祉的な支援を受ける就労を目指す場合は当てはまりません。
②身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などがあること
※障害者手帳を持っている方はもちろん、持っていない方も医師の診断や自治体の判断によって利用できます。
③18歳以上で満65歳未満の方
④離職中の方(例外あり)
2.利用料
就労移行支援の利用料は、「最低0円から」となっています。仮に負担が生じたとしても「月額で最大37,200円」です。また、利用料には上限が設定されています。なお利用期間は最長24か月となっています。
(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級需給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
(注2)収入が概ね600万以下の世帯が対象になります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。
3.就労移行支援事業所を利用するメリット・デメリット
メリットは次の5つです。
①「健康管理の力」を身につけることができる
②働き続ける上で課題となる「障害」への対応策を身に着けることが出来る
③希望する就労に向けた専用のプランを障害者就労に詳しいスタッフに立ててもらうことができる
④通いながらスキルアップ研修やトレーニングを受けることが出来る
⑤就職サポートはもちろん、職場定着サポートも受けることが出来る
一方、デメリットは次の4つです。
①障害者雇用枠での就職を希望する方向けのプログラムや就職支援メニューを用意している事業所が多いため、一般枠での就職のみを希望される方は、提供されるプログラムや就職支援メニューが希望する内容と合致しない可能性がある
②就労移行支援事業所の利用料が発生する場合がある(無料で利用できる場合もあり)
③通所期間中は短時間であってもアルバイト等の就労をすることができず(例外あり)就業準備に専念する(実習等で職業体験を通してスキル向上や適性の把握をすることは可能)
④求人紹介を受ける場合は、ハローワークや人材紹介会社を利用する必要がある(就労移行支援事業所独自のネットワークで企業見学や、企業との座談会、企業実習などの機会をきっかけに就職に繋がるケースも多くあります)
4.就労移行支援施設の選び方
就労移行支援事業所が行うサポートや訓練の内容は、事業所ごとに異なる場合があります。また注力しているサポートやプログラムにも違いがありますので、事業所の特長をよく把握して選ぶ必要があります。
必要とするサポートを実施しているか
発達障害に伴って、コミュニケーションスキルに不安を抱えている場合は、ソフトスキル講習や、マナー講座、面接時の応答など、サポートが充実している事業所を選ぶのがよいでしょう。
また、「PCスキルを学びたい」「簿記の講座を受けて経理職に就きたい」など、就労に向けて学びたいことが明確になっているのであれば、そうしたプログラムに力を入れている事業所を選ぶことも大切です。
自分の病気や障害状態に対応しているか
例えば精神障害をお持ちの場合であれば精神保健福祉士、身体障害の場合であれば介護福祉士など、こうした専門員が所属していると、病気や障害の実情に即した支援を受けられる可能性が高くなるかもしれません。
ただし、有資格者はいなくても、就労移行支援事業所は基本的には各病気や障害に対応していますので「資格の有無」よりも、自分の病気や障害への対応状況や実績はどうかについて尋ねることが大切になります。
雰囲気や支援員の性格があなたに合っているかどうか
事業所の雰囲気や支援員との相性が自分とあっているかというものはあります。無理なく通い続けるには、必ず確認しておきましょう。
また、事業所の雰囲気を掴むためには、すでに事業所へ通っている人が、どんな様子で過ごしているかを確認してみるのもよいかもしれません。このように相性を確認するためには、やはり見学や体験通所を重ねることが大切です。
プログラムが充実しているか
事業所の中には、基礎的なレベルを超えて専門資格の取得を目指すプログラムを実施している事業所もあります。
また、独立やフリーランスでの就労も視野に入れた方向けにwebマーケティングなどの専門講習を実施しているところもあります。
こうしたプログラム内容の充実度に目を向けて事業所を選ぶというのも一つの方法です。
通いやすい距離・場所かどうか
就職に至るまでには、ある程度の通所期間を要することが多いので、長く、そして無理なく通い続けることが大切です。通うだけで疲れてしまって、支援プログラムに集中できないと、通う意味がありませんよね。
就職実績や定着実績があるかどうか
希望する職業がある方は、就労移行支援事業所への問い合わせの際に、希望する職種での就職実績があるかを、必ず確認しましょう。また、単に就職実績があるだけでなく、「職場定着の実績」まで尋ねることが大切です。
職場定着の実績が豊富な事業所ほど、より実際的なカリキュラムを組んでいたり、発達障害の特性に合った就職先を勧めたり、など就職後のことを踏まえたサポートを行っていることが多いです。
弊社では複数の就労移行支援施設とタイアップしていますので、ご興味のある方はご相談ください。