化学物質過敏症とは
化学物質過敏症は、生活環境中のきわめて微量な化学物質に接することにより、自律神経系の不定愁訴や精神神経症状をはじめとする多彩な症状があらわれる病態とされていますが、その症状と原因の因果関係や発症メカニズムはよく分かっていません。
特定の化学物質へのばく露がなくなっても症状が継続したり、全く異なる化学物質に対しても症状がみられることもあります。
化学物質過敏症の症状とは
多臓器にわたる、様々な自覚症状があります。頑固な頭痛やめまい、皮膚炎、喘息などを起 こし、シックハウス症候群と似たような症状を呈します。
特定の物質に対しておきるアレルギー反応とは異なり、関連性のない多種類の化学物質に反応します。
また通常の中毒量よりもはるかに微量の化学物質に反応して症状を発現します。
こういったことから中毒やアレルギー反応以外の過敏反応と考えられていますが、いまだに解明 されていません。
患者は女性に多く 7 割以上が女性で、40歳代、50歳代に多くみられます。
化学物質過敏症そのものはアレルギー反応で起こっているわけではありませんが、アレル ギー疾患の合併、特にアレルギー性鼻炎を合併している患者が多いようです。
空気中の化学物 質と最初に接する生体粘膜が鼻粘膜であり、その粘膜に炎症があれば、より強く化学物質の影 響が出やすいのではないかと推測されています。
治療法
この病気には特効的な治療法はありません。
環境によって発症する疾患であるので、症状の発現を抑えたり、軽減できる程度まで環境を改善することが有効です。
環境整備の方法は換気が最も重要です。窓やドアを開けたり、換気扇を使用して室内の空気のよどみを解消し風通しを良くすることで化学物質の濃度を低下させることができます。
また、発生源になっている家具や防虫加工した畳、カーテン、絨毯などを部屋の外に出すことです。
体調不良を起こす場所、条件が分かっていれば、それを避ける必要があります。
個人防御と して活性炭マスクの着用などを考えます。
また患者の体調管理も重要で特にビタミン類(B 類、 C、E)の摂取を心がけ睡眠と休養、定期的な運動をして体調を整えることが有効です。
受診状況等証明書の取得にあたって
化学物質過敏症という疾患の概念は、未だ十分に確定していないため、自律神経失調症や更年期障害、老化、心身症等と診断されたり、時に仮病扱いされることもあるようです。
その為、初診の医療機関で受診状況等証明書をとろうとしても、診療時に化学物質過敏症の疑いすらない場合、作成を拒否されるケースもあるようです。
結果、確定診断時が初診になってしまい、障害認定日がまだ来ておらず申請ができない場合もあります。
障害年金申請にあたって
化学物質過敏症で障害年金を申請するにあたっては、「障害年金の請求にかかる照会について」を、診断書と一緒に提出する必要がありますので、忘れずに先生に書いてもらいましょう。
なお、おおよその目安として、PS5~PS6が3級相当、PS7~PS8が2級相当、PS9が1級相当と考えられていますが、
このPS値だけで障害等級が決まるわけではありません。一般状態区分や就労状況等もポイントになってきますので注意が必要です。