最終更新日: 2025-12-21 社会保険労務士 遠藤 隆
1.特発性大腿骨頭壊死症とは
特発性大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭の一部で血流が低下し、骨組織が死んでしまう病気です。骨が壊死してもすぐに痛みが出るわけではなく、壊死した部分が潰れて変形したときに初めて痛みが生じます。壊死範囲が小さい場合は症状が出ないまま経過することもあります。原因は完全には解明されていませんが、ステロイド薬の大量投与、アルコール摂取、喫煙、膠原病などが危険因子とされています。本症は厚生労働省の指定難病であり、医療費助成の対象です。
2.どのくらいの患者さんがいるのですか
国内での年間発生数は約2,000~3,000人で、30~50歳代に多くみられます。男性は40歳代、女性は60歳代に多く、新規患者の男女比は1.5:1です。
3.病気の原因はなんですか
飲酒や喫煙の習慣がある人、膠原病・臓器移植などでステロイド治療を受けた人で発生しやすいものの、誘因がない例もあります。遺伝的要因は現時点では明確ではありません。
4.どのような症状ですか
症状は骨が潰れて変形した段階で現れ、股関節の急な痛みが典型的です。ただし腰痛や膝痛として始まることもあります。初期は安静で一時的に軽くなっても、圧潰が進むと再び悪化します。発生から症状が出るまで数か月から数年かかることが多く、気づきにくい病気です。

5.どのような治療法がありますか
治療は患者の年齢や生活状況、壊死範囲などを総合的に判断して選択されます。症状がなく予後が良いと判断される場合は保存療法が適応となり、安静や杖による免荷、体重管理などを行います。しかし保存療法だけで圧潰の進行を防ぐことは難しく、変形が進む前に手術を検討することが重要です。
手術療法には骨頭を残す方法と人工関節に置き換える方法があります。若年者では骨切り術が優先され、大腿骨を回転・傾斜させ壊死部への荷重を避ける方法が用いられます。一方、壊死範囲が大きい例や高齢者では人工関節置換術が選択されます。人工関節は早期の歩行が可能ですが、将来再手術が必要となる可能性があるため適応は慎重に判断されます。また、近年は壊死部の再生を目指す再生医療の研究も進んでいます。病気の経過は、壊死した部分が周囲へ広がることはありません。壊死範囲は通常変わらず、小さい場合は修復され縮小することもあります。ステロイド治療を継続しても壊死部が拡大することは少ないとされています。
日常生活では、股関節に過度な負担をかけないことが大切です。杖の使用、長距離歩行や階段昇降を避けること、重量物を持たないことなどが指導されます。ただし、生活指導だけでは圧潰を十分に防げないため、変形が進む前に適切な時期に手術を受けることが治療成績を左右します。
7.障害年金申請のポイント
大腿骨骨頭壊死で申請する場合、ほとんどが人工関節や人工骨頭に置換した場合です。この場合障害等級3級に該当しますので、初診時に厚生年金加入中である必要があります。なおいくつ人工関節に置換しても3級のままです。
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