最終更新日: 2025-12-21 社会保険労務士 遠藤 隆
1.脊髄小脳変性症とは
脊髄小脳変性症は、小脳や脊髄の神経が徐々に障害されることで、歩行時のふらつき、手の震え、喋りにくさなどが現れる病気の総称です。体を動かす力は保たれているものの、うまく調節できなくなる「運動失調」が中心で、腫瘍や脳卒中、炎症など明らかな原因によらない変性疾患が含まれます。一部の病型では症状が脊髄に及ぶこともあり、この名称が用いられています。日本では行政上、足の突っ張りが中心となる痙性対麻痺の一部もこの病気に含めています。
2.どのくらいの患者さんがいるのですか
患者数は全国で3万人を超え、最も多いのは家族歴のないタイプで全体の約3分の2を占めます。残りの約3分の1は遺伝性で、日本ではSCA3、6、31、DRPLAなどが代表的です。小児では別の遺伝子が原因となる型が多くみられます。遺伝性の多くは原因遺伝子が判明しており、病気の仕組みに基づく研究が進んでいますが、依然として原因不明の病型も残っています。
3.病気の原因はなんですか
感染する病気ではなく、生活習慣や食事との明確な関連も知られていません。遺伝性の場合は優性遺伝と劣性遺伝があり、遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。家族歴やMRIなどでおおよそ判断できますが、区別が難しい例では遺伝子検査が必要です。検査の一部は保険適用されています。
4.どのような症状ですか
主な症状は歩行のふらつき、手が使いにくい、喋りにくいといった運動失調で、痙性対麻痺では足の突っ張りが特徴です。進行は非常にゆっくりで、急激に悪化することはほとんどありません。病型によっては自律神経症状や手足のしびれを伴うことがありますが、重度の認知症を伴うことはまれです。
5.どのような治療法がありますか
治療は原因そのものを止める方法がまだ確立されておらず、現在は症状を和らげる対症療法が中心です。運動失調にはTRH製剤などが使われ、足のつっぱりやめまいなどにも状況に応じた治療が行われます。近年、遺伝性痙性対麻痺ではロボットスーツHALを用いた歩行リハビリが保険適用となり、歩行改善が期待されています。研究は世界的に進んでおり、将来的な根本治療の開発が大いに期待されています。
6.注意点はありますか
日常生活では、転倒予防が最も重要です。特に歩き始めや方向転換でバランスを崩しやすいため、廊下や浴室、トイレには手すりを設置し、安全に移動できる環境づくりが求められます。また、進行すると嚥下障害が起こる場合があり、誤嚥性肺炎の危険性が高まります。食事の形態を調整し、むせが増えた場合は嚥下検査を受けることが推奨されます。症状は徐々に進みますが、適切なケアとリハビリで生活の質を保つことが可能です。
7.障害年金申請のポイント
基本的に肢体障害で申請しますが、日常生活動作はそれほど悪くなくてもふらつきが酷い場合は、平衡機能障害で申請することも考慮に入れます。
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