重症筋無力症(指定難病11)

最終更新日: 2025-12-21 社会保険労務士 遠藤 隆

1.重症筋無力症とは

重症筋無力症は、末梢神経と筋肉の接ぎ目である神経筋接合部において、筋肉側の受容体が自己抗体によって障害される自己免疫疾患です。その結果、神経から筋肉への信号伝達がうまくいかなくなり、筋力低下や易疲労性が生じます。特徴的な症状として眼瞼下垂や複視などの眼症状が多くみられ、眼の症状のみの場合は眼筋型、全身の筋力低下を伴う場合は全身型と呼ばれます。進行すると嚥下障害や呼吸筋麻痺を起こし、生命に関わる状態となることもあります。

 

2.どのくらいの患者さんがいるのですか

2018年の全国疫学調査では、国内の患者数は約2万9千人、有病率は人口10万人あたり23.1人と報告されています。患者数は過去10年で増加しており、早期診断が進んだことも一因と考えられています。男女比は女性にやや多く、発症年齢の中央値は約60歳で、特に50歳以上での発症が増えています。特定の地域や職業との関連は認められていません。

 

3.病気の原因はなんですか

原因としては、神経筋接合部に存在する分子に対して自己抗体が作られることが挙げられます。最も多いのはアセチルコリン受容体に対する抗体で全体の約85%を占め、次いでMuSK抗体が数%にみられます。約90%の患者で原因となる自己抗体が判明していますが、なぜ自己抗体が作られるかは明らかになっていません。アセチルコリン受容体抗体陽性例の多くで胸腺の異常がみられることから、胸腺の関与が疑われています。なお、自己免疫性の重症筋無力症は遺伝する病気ではありません。

 

4.どのようの症状ですか

症状は筋力低下と疲れやすさが基本で、眼、四肢、発声や嚥下に関わる筋など、全身の骨格筋に起こり得ます。重症化すると呼吸筋麻痺を生じ、クリーゼと呼ばれる危険な状態に至ることがあります。

5.どのような治療法がありますか

治療は対症療法と免疫療法が中心です。対症療法としては神経筋伝達を補助する薬が用いられますが、根本治療ではありません。免疫療法では、ステロイドや免疫抑制薬、血漿浄化療法、免疫グロブリン大量静注療法、新しい分子標的薬などが、症状や重症度に応じて選択されます。胸腺腫を合併する場合は外科的切除が必要で、胸腺摘除術は一部の患者で有効性が示されています。

 

6.注意点はありますか

現在は早期診断と治療により予後は比較的良好で、多くの患者が日常生活や仕事を続けています。ただし治療が長期にわたる場合も多く、日常生活ではワクチン接種や妊娠・授乳時の薬剤使用について主治医と十分に相談することが重要です。

 

7.障害年金申請のポイント

重症筋無力症は筋力が低下することにより、日常生活の動作に様々な影響が出ますので、「肢体の障害」の診断書を使用します。日常生活動作の状況を先生に詳しく申告しましょう。

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社会保険労務士 遠藤 隆
社会保険労務士 遠藤 隆
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