最終更新日: 2025-12-21 社会保険労務士 遠藤 隆
1.シャルコー・マリー・トゥース病とは
シャルコー・マリー・トゥース病は、1886年に報告された遺伝子変異による末梢神経疾患の総称で、主に手足の末端に筋力低下や感覚低下を引き起こします。男女差はほとんどなく、発症時期は乳幼児期から若年期が多いものの、50〜60歳になってから症状が現れる場合もあり、それまで日常生活やスポーツに支障がない人も少なくありません。
診断は、問診や神経学的診察に加え、神経伝導検査を中心とした電気生理学的検査で行われ、必要に応じて針筋電図、神経超音波検査、神経生検などが実施されます。これらの検査で異常が認められた場合、採血による遺伝子検査によって確定診断となります。PMP22遺伝子の一部検査は保険適用されています。
2.どのくらいの患者さんがいるのですか
患者数は欧米では約2,500人に1人、日本では約1万人に1人とされ、まれな疾患に分類されます。
3.病気の原因はなんですか
特定の体質や生活習慣との関連はなく、100種類以上の原因遺伝子が報告されています。遺伝形式は常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X染色体連鎖性遺伝など多様で、遺伝子が関与していても必ず親から子へ発症するわけではありません。CMTの特徴として、異なる遺伝子変異でも似た症状を示す「遺伝的多様性」が挙げられます。最も多いのはPMP22遺伝子の変異で、全体の約40%を占めます。
4.どのような症状ですか
症状は足や下腿、手や前腕などの筋萎縮と筋力低下がゆっくり進行し、感覚が鈍くなることが特徴です。凹足などの足の変形や、つまずきやすさ、鶏歩と呼ばれる特徴的な歩行で気づかれることが多く、幼少期から軽い症状が見られる場合もあります。重症例では出生時から症状があり、視力や聴力の障害、脊柱変形などを伴うこともあります。

5.どのような治療法がありますか
現時点ではCMTに有効性が確立された治療法はありませんが、研究は進められています。リハビリテーションでは、ロボットスーツHALを用いた歩行訓練が保険適用され、機能維持や改善が期待されています。病気の進行は緩やかで、多くの人は自力または杖で歩行可能ですが、車椅子を使用する人は約20%、寝たきりになる人は1%程度とされています。
6.注意点はありますか
日常生活では、適切な靴や装具の使用、理学療法や適度な運動が重要です。CMTは命に関わる疾患ではなく、寿命への影響も少ないため、多くの患者が仕事を続けながら生活しています。病気を正しく理解し、現在の生活能力を維持しながら前向きに過ごすことが大切です。
7.障害年金申請のポイント
歩行障害や筋委縮がみられる場合は肢体障害で申請しますが、視力や聴力障害が顕著な場合は、視覚障害や聴覚障害での申請も検討します。
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