【質問】いくつかの病院を転院しています。障害年金の初診日はいつになりますか?

最終更新日: 2026-10-29 社会保険労務士 遠藤 隆

【回答】同じ病気やけがで転院している場合は、原則として、最初の医療機関で診療を受けた日が初診日になります。転院するたびに、障害年金上の初診日が変わるわけではありません。

 例えば、同じ傷病についてA病院、B病院、C病院の順に受診した場合、初診日はA病院で初めて診療を受けた日です。日本年金機構も、この取扱いを明示しています。

 

病名が確定した日や、専門医を受診した日ではありません

 初診日は、現在の病名が確定した日とは限りません。最初は別の病名で診療を受けていても、後に障害の原因となった傷病と同一と判断されれば、その最初の受診日が初診日になります。

 

 また、精神科を受診する前に、不眠や不安などで内科を受診していた場合も、診療内容や症状のつながりによっては、内科の受診日が初診日となる可能性があります。診療科の名称だけで判断せず、受診経過を確認することが大切です。

原因となった病気と、現在の障害の病名が違う場合は?

 前後の傷病に「相当因果関係」が認められる場合は、原則として、原因となった傷病の初診日を確認します。相当因果関係とは、前の傷病がなければ、後の病気は起こらなかったと認められるような関係です。厚生労働省の資料では、次のような例が挙げられています。

原因となる傷病 関連する傷病
糖尿病 糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症など
慢性腎炎など 慢性腎不全
肝炎 肝硬変

 実際の取扱いは、診療記録や医学的な関係を踏まえて判断されます。

通院していない期間が5年以上あれば、初診日は変わりますか?

 5年以上通院していないという理由だけで、初診日が変わるわけではありません。医学的には完全に治っていなくても、相当の期間、症状がなく、治療の必要もなく、通常の社会生活を送っていたと認められる場合には、**「社会的治癒」**として扱われることがあります。この場合、再発後に初めて診療を受けた日が、新たな初診日となる可能性があります。厚生労働省が公開する社会保険審査会の裁決例でも、症状の有無、医療の必要性、通常の勤務状況などが検討されています。

 

 ただし、次のような事情は区別する必要があります。

  • 症状が落ち着き、治療を必要とせず生活していた
  • 症状は続いていたが、経済的事情や自己判断で受診を中断していた

 「受診していない期間」と「治療が必要なかった期間」は同じではありません。 一律の年数だけで判断したり、本人の希望で都合のよい受診日を選んだりすることはできません。

最初の病院が廃院し、証明書を取れない場合は?

 最初の病院で証明書を取れなくても、直ちに申請できなくなるわけではありません。後の病院の診療記録、紹介状、診察券など、初診日を確認する参考資料を検討します。厚生労働省は、初診の医療機関の証明が得られない場合も、提出された資料や傷病の性質などを総合的に確認する取扱いを示しています。証明書が取れないからといって、次の病院の受診日をそのまま初診日にはできません。

 

 初診日は、対象となる年金の種類や保険料納付要件に関わる重要な日です。転院が多い場合は、医療機関名、受診時期、当時の症状、転院・中断の理由を時系列で整理しましょう。

 

出典・参照(公的機関)

  • 日本年金機構「初診日」「かけはし 第75号」
  • 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
  • 厚生労働省「障害基礎年金 お手続きガイド解説―初診日とは?」
  • 厚生労働省公開の社会保険審査会裁決例
  • 厚生労働省「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」

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社会保険労務士 遠藤 隆
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