【完全ガイド】障害年金のデメリットと注意点|扶養や老齢年金への影響を専門家が解説

最終更新日: 2026-5-26 社会保険労務士 遠藤 隆

【結論】障害年金を受給することによる実務上のデメリットは非常に限定的であり、基本的には「デメリットよりも受給できるメリットの方が圧倒的に大きい制度」です。

 

一部で「将来の年金が減る」「会社や家族に迷惑がかかる」といった噂がありますが、これらは制度上の調整や特定の条件における仕様に過ぎません。ただし、他の福祉制度や税法・社会保険の扶養との兼ね合いで「事前に知っておくべき注意点」があるのは事実です。本記事では、相談実績12,000件以上を誇る社労士法人が、障害年金のデメリットとされる8つのポイントとその真実、実務上の対策を徹底解説します。

この記事が向いている方

✅ 障害年金を申請したいが、将来の老齢年金が減らされないか不安な方
✅ 障害年金をもらうことで、家族の社会保険の扶養から外れるか知りたい方
✅ 受給していることが会社(勤務先)にバレてしまうか心配な方
✅ 傷病手当金や生活保護など、他の給付金と同時に受け取れるか気になる方

この記事の目次

  • 【結論】障害年金のデメリットは限定的!「知らないと損する」8つの注意点と制度上の調整
  • 障害年金を受給することで発生する8つのデメリット・注意点
  • 【実務の誤解】「障害年金を申請すると損をする」と言われる理由と本当のところ
  • 障害年金に関するよくある質問(FAQ)
  • まとめ|障害年金はデメリットを「正しく理解して活用する」ことが重要
  • ご相談について

【結論】障害年金のデメリットは限定的!「知らないと損する」8つの注意点と制度上の調整

障害年金は、病気やケガによって生活や就労に制限が出た方を支えるための公的年金です。原則として非課税であり、長期間にわたって安定した実収入を得られる大きなメリットがあります。

しかし、何も知らずに申請すると「他の給付金が減額された」「扶養から外れてしまった」といった想定外の調整に驚くことになりかねません。これらはデメリットというよりも、国の社会保障制度が重複して支給されないようにするための「仕様(ルール)」です。事前に仕組みを理解していれば、適切に対策を立てることが可能です。

障害年金を受給することで発生する8つのデメリット・注意点

実務上、障害年金の申請にあたって把握しておくべき「デメリットになり得る注意点」は以下の8つです。

① 死亡一時金や寡婦年金が支給されない場合がある

障害基礎年金(1級または2級)を受給していた方が、老齢年金を受け取る前に亡くなった場合、残された遺族に支給される「死亡一時金」や「寡婦年金」は原則として支給されません。

 

👉 ただし、死亡一時金は最大でも約32万円であるのに対し、障害基礎年金2級を受給すれば年額約81万円(※令和8年度価額を基準としたイメージ。年度により変動)が毎年支給されます。生涯のトータル受給額で見れば、障害年金をもらっていた方が金銭的なベネフィットは圧倒的に大きいため、実務上のデメリットはほぼありません。

② 国民年金の「法定免除」により将来の老齢年金が減る可能性がある

障害年金の1級・2級に認定されると、国民年金保険料の支払いが全額免除される「法定免除」という制度が適用されます。毎月の負担がなくなるため一見メリットですが、法定免除された期間は、将来もらえる「老齢基礎年金」の計算時に「国庫負担分の2分の1」としてカウントされてしまいます。つまり、将来もらえる老齢年金の額が満額よりも減ってしまう仕組みです。

 

👉 これには明確な対策があります。法定免除の期間中であっても、本人が希望すれば保険料を「任意納付」したり、後から「追納」したりすることが可能です。保険料を納めれば老齢年金が減ることはないため、ご自身の経済状況に合わせて選択できます。

③ 「20歳前の傷病」による障害年金には所得制限がある

原則として、障害年金には受給者本人の稼ぎによる所得制限はありません。しかし、20歳前に初診日がある病気やケガ(生まれつきの障害や、学生時代の精神疾患など)で障害基礎年金を受給する場合に限り、例外的に本人の所得制限が設けられています。

 

👉 具体的には、2人世帯の場合で所得が約370万円(年収換算で約518万円)を超えると年金の半額が停止され、所得が約472万円(年収換算で約644万円)を超えると全額が支給停止になります。前年の所得ベースで毎年8月に判定されますが、基準ラインが高いため、多くの場合は知らずに損をするリスクは低く、事前に管理可能な範囲です。

④ 傷病手当金の申請手続きをきっかけに会社に知られる可能性がある

「障害年金をもらうと会社にバレて解雇されるのでは」と心配される方が非常に多いです。結論から言うと、障害年金は非課税所得であり住民税の額にも影響しないため、役所や年金事務所から会社へ通知がいくことはなく、基本的にはバレません。

 

👉 ただし、健康保険の「傷病手当金」を会社経由で申請している場合、傷病手当金の申請書には「障害年金の受給状況」を記載する欄があります。ここで受給している旨を記載するため、会社の総務や人事の担当者に知られる可能性があります。

⑤ 年金収入によって社会保険の「扶養」から外れる場合がある

配偶者や親の健康保険の「扶養(被扶養者)」に入っている方は注意が必要です。健康保険の扶養家族でいられる収入基準は原則「年収130万円未満」ですが、障害者の場合は「年収180万円未満」に緩和されています。ここで重要なのは、障害年金の受給額もこの「年収180万円」のカウントに含まれるという点です。

 

👉 例えば、障害厚生年金や障害基礎年金で年額150万円を受給しており、さらにパートやアルバイトで年間40万円の収入を得た場合、合計収入が190万円となり、扶養の基準(180万円)を超えてしまいます。その場合は扶養から外れ、ご自身で国民健康保険や国民年金(3級等の場合)に加入して保険料を支払う必要があります。ただし、保険料以上の収入であるため損になることはありません。

⑥ 生活保護費と調整(減額)される

生活保護を受給している方が障害年金を受け取るようになった場合、国からの給付が重複するため、障害年金として支給された金額の分だけ生活保護費が減額されます。

 

👉 年金と生活保護の「二階建て満額受給」はできませんが、手元に残る総額が減るわけではありません。さらに、障害年金の1級や2級に認定されると、生活保護の支給枠の中に「障害者加算」が上乗せされるため、結果として受給できる総額が申請前よりわずかに増えるケースが一般的です。

⑦ 健康保険の「傷病手当金」と同時に満額は受け取れない

同一の病気やケガによって、健康保険から「傷病手当金」を、年金事務所から「障害年金(障害厚生年金など)」を同時に受給する場合、これらは全額を併給することはできません。法的な重複調整ルールにより、障害年金の支給が優先され、傷病手当金は「障害年金の日額よりも傷病手当金の日額の方が高い場合」に、その差額分だけが支給されます。

 

👉 傷病手当金をすでに満額もらっている期間に対して、後から障害年金が過去に遡って遡及受給(そきゅうじゅきゅう)された場合、過去に遡って重複した分の傷病手当金を健康保険組合に返還しなければならない実務上の手続きが発生します。ただ、貰った以上に返す訳ではありませんので損になることはありません。

⑧ 配偶者の「加給年金」が停止される場合がある

厚生年金に長く加入していた夫(または妻)が老齢年金を受け取る際、生計を維持されている配偶者がいると、老齢年金に「家族手当」のような意味合いを持つ「配偶者加給年金」が上乗せされます。しかし、その妻(または夫)自身が障害年金(障害基礎年金や障害厚生年金など)を受給するようになると、相手の老齢年金についている加給年金は支給停止となります。

 

👉 ただし、停止される加給年金の額(年額約40万円)よりも、ご本人が受け取る障害年金の額(2級であれば年額約81万円〜+厚生年金分)の方が高額になるケースがほとんどです。世帯全体のトータル収入で見ればプラスになることが多いため、過度に恐れる必要はありません。

【実務の誤解】「障害年金を申請すると損をする」と言われる理由と本当のところ

ネット上の掲示板やSNS等で「障害年金はデメリットだらけだから申請しない方がいい」という書き込みを見かけることがありますが、これは実務を知らないことによる大きな誤解です。

ここまで解説した通り、デメリットとされる項目のほとんどは「他の公的給付との重複を避けるための調整」や「事前の選択で回避できる仕組み」に過ぎません。

【実務上の結論】 障害年金は原則として「非課税」であり、どれだけ受給しても翌年の住民税や所得税が上がることはありません。また、一度受給したからといって戸籍やマイナンバーカードに記録が残るようなこともなく、将来の就職や結婚に不利益を被ることも一切ありません。 制度を知らずに申請を躊躇し、もらえるはずの経済的支援を受け取らない「申請漏れのリスク」の方が、生活の安定において遥かに大きな損失となります。

障害年金に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 障害年金をもらうと、将来もらえる老齢年金がその分減らされますか?

A1. いいえ、障害年金をいくら受け取っても、過去に会社員として納めてきた厚生年金の期間に応じた老齢厚生年金などが直接減額されることはありません。 ただし、障害年金1・2級を受給したことで国民年金保険料が「法定免除」になった期間については、将来の老齢基礎年金の額が満額の半分として計算されるため、結果的に老齢年金が減る要因になります。これを防ぎたい場合は、法定免除を使わずに通常通り保険料を納める(任意納付・追納)ことで、将来の老齢年金を減らさずに済みます。

 

Q2. 障害年金を受給していることは、就職活動のときや会社にバレますか?

A2. 自分から会社に伝えない限り、基本的にはバレることはありません。 障害年金は税金がかからない非課税所得ですので、会社の年末調整や住民税の特別徴収のデータから会社に発覚することはありません。ただし、障害者雇用枠での就職を目指す場合や、社内規程に基づき傷病手当金の調整手続きを人事経由で行う場合には、受給している事実を会社に開示する必要があります。

 

Q3. パート収入と障害年金を合わせると、家族の扶養から外れてしまいますか?

A3. 合計した年間の見込み収入が「180万円」以上になると、社会保険(健康保険)の扶養から外れる必要があります。 一般の扶養基準は130万円ですが、障害年金を受給できる状態の障害者は180万円に引き上げられています。障害年金の受給額(非課税ですが収入としてカウントされます)とパートの給与収入を足して180万円を超える場合は、ご自身で国民健康保険等への加入手続きが必要となります。

 

Q4. 障害年金を申請した後に不支給(落ちた)になったら、何かペナルティはありますか?

A4. 不支給になったとしても、一切のペナルティや不利益はありません。 税金を請求されたり、これまでの医療費の負担が増えたりするようなリスクは存在しません。審査に落ちてしまった場合は、結果に不服を申し立てる「審査請求」を行うか、病状の変化や書類の内容を再検討した上で、再度「再請求(再申請)」を行うことが可能です。当センターでも、一度ご自身で申請して不支給になった方からのリカバリーのご相談を多くお受けしています。 

まとめ|障害年金はデメリットを「正しく理解して活用する」ことが重要

障害年金におけるデメリットと注意点の重要ポイントを振り返ります。

  • 障害年金は原則として非課税であり、生活を支えるための強力な経済的メリットがある
  • 「老齢年金が減る」「扶養から外れる」といったリスクは、年収180万円の壁や法定免除の仕組み(任意納付で対策可能)を正しく理解していればコントロールできる
  • 傷病手当金や生活保護とは重複調整があるため、どちらが優先されるか事前のシミュレーションが不可欠
  • 自分から会社に申告しない限り、周囲や勤務先に受給の事実が勝手に伝わることはない

障害年金は「デメリットがあるから避けるべき制度」ではなく、「正しい仕組みを理解した上で、安心して活用すべき制度」です。他制度との複雑な組み合わせに不安がある場合は、専門家である社会保険労務士への相談をおすすめします。

ご相談について

「自分の今の収入や傷病手当金との兼ね合いで、本当に障害年金を申請しても損をしないか不安」「家族の扶養から外れない範囲で申請を進めたい」とお悩みではありませんか?

新横浜・川崎障害年金相談センター(運営:社会保険労務士法人 ポラリス・コンサルティング)では、単に障害年金の書類を作成するだけでなく、お客様が現在受け取られている他の給付金(傷病手当金、雇用保険、生活保護など)やご家族の扶養状況、将来の老齢年金への影響までトータルに見据えた上で、最も有利になる最適な申請プランをご提案いたします。横浜市・川崎市をはじめ、全国の皆様からのご相談を初回無料で承っております。

状況に応じた具体的な進め方については、無料相談で個別にご案内しています。

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