最終更新日: 2025-12-21 社会保険労務士 遠藤 隆
1.クローン病とは
クローン病は、原因不明の慢性炎症性腸疾患(IBD)の一つで、主に若年者に発症し、口腔から肛門まで消化管のあらゆる部位に炎症や潰瘍を生じる病気です。消化管は食物の消化・吸収と不要物の排泄を担う器官で、口腔から大腸・肛門まで全長約6mに及びます。クローン病では特に小腸末端部と大腸に病変が起こりやすく、正常部位を挟んで非連続性に炎症が生じることが特徴です。
2.どのくらいの患者さんがいるのですか
患者数は年々増加しており、国内では指定難病として医療費助成の対象となっています。10歳代~20歳代の若年者に好発します。発症年齢は男性で20~24歳、女性で15~19歳が最も多くみられます。男性と女性の比は、約2:1と男性に多くみられます。先進国で多くみられ、動物性脂肪やたんぱく質の多い食生活、喫煙などが発症や悪化に関与すると考えられています。
3.病気の原因はなんですか
原因は明確ではありませんが、遺伝的素因を背景に、食事や腸内細菌に対して免疫が過剰に反応することで炎症が持続すると考えられています。クローン病は遺伝病ではありませんが、家族内発症や人種差がみられることから、複数の遺伝的因子と環境要因が関与するとされています。
4.どのような症状ですか
主な症状は腹痛や下痢で、発熱、血便、体重減少、貧血、全身倦怠感などを伴うこともあります。さらに、腸管の狭窄や瘻孔、膿瘍といった合併症や、関節炎、皮膚・眼・肛門部病変など腸管外症状を呈する場合もあります。診断は、症状や血液検査異常を手がかりに、大腸内視鏡や小腸造影、CT・MRIなどの画像検査、病理検査を総合して行われます。

5.どのような治療法がありますか
治療は内科治療が中心で、栄養療法、5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤などを用いて炎症を抑え、再燃を防ぎます。合併症がある場合には内視鏡的治療や外科手術が必要となることもあります。
6.注意点はありますか
クローン病は寛解と再燃を繰り返す慢性疾患であり、症状が落ち着いていても病変が進行することがあります。そのため、治療の継続と定期的な検査が重要です。日常生活では脂肪の多い食事を控え、体調に応じた食事管理を行い、定期受診を怠らないことが大切です。
7.障害年金申請のポイント
下痢や血便で外出することもままならない、就労に影響しているようであれば「その他の診断書」を使用して申請をいたします。日常生活にどのように影響しているかを主治医に伝え、一般状態区分に反映してもらうことが重要です。
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