最終更新日: 2025-12-21 社会保険労務士 遠藤 隆
1.エーラス・ダンロス症候群(EDS)とは
エーラス・ダンロス症候群(EDS)は、皮膚や関節が通常より伸びやすいこと、血管や内臓などの組織がもろいことを特徴とする遺伝性の結合組織疾患です。1901年にエーラス、1908年にダンロスによって報告され、2017年に国際的な分類・命名法が整理されました。現在は古典型、血管型、関節(過可動)型など13の病型に分類されており、それぞれ遺伝形式や原因遺伝子、症状の現れ方が異なります。
2.どのくらいの患者さんがいるのですか
すべての病型を合わせると1/5,000人はいるだろうと考えられています。どの国の、どの家族にも発生する可能性があります。
3.病気の原因はなんですか
原因としては、コラーゲンそのもの、あるいはコラーゲンの成熟に関わる酵素をコードする遺伝子の変異が多く報告されています。例えば、古典型ではCOL5A1やCOL5A2、血管型ではCOL3A1、筋拘縮型ではCHST14やDSEなどが原因遺伝子として知られています。一方、関節(過可動)型については、いまだ明確な原因遺伝子は特定されていません。これらの一部は保険適用で遺伝学的検査が可能ですが、検査にあたっては医療機関での診察や遺伝カウンセリングが重要とされています。
遺伝形式は病型によって異なり、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)の場合、子どもが病気を受け継ぐ確率は2分の1です。一方、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)の場合は、両親が保因者であった場合に4分の1の確率で発症します。
4.どのような症状ですか
症状は病型ごとに特徴があります。古典型では皮膚が伸びやすく裂けやすい、内出血しやすい、関節が柔らかく脱臼しやすいといった症状がみられます。関節(過可動)型では関節の脱臼や亜脱臼を繰り返すほか、慢性的な痛み、便秘や下痢などの消化器症状、立ちくらみや動悸といった自律神経症状を伴うこともあります。血管型では、動脈の解離や破裂、腸管や子宮の破裂、気胸など生命に関わる重篤な合併症が問題となります。筋拘縮型では出生時から関節拘縮や特徴的な顔貌がみられ、成長とともに皮膚や関節、骨格の脆弱性が進行します。

5.どのような治療法がありますか
治療は根本的に治す方法はなく、症状や合併症への対処が中心です。関節や皮膚のトラブルに対しては運動制限や装具、リハビリテーションが行われ、血管型では定期的な検査や薬物療法、必要に応じた外科的対応が重要です。
6.注意点はありますか
病気の経過や重症度には個人差が大きく、日常生活では病気への理解を深め、医療・教育関係者と情報を共有し、外傷や緊急時への備えを行うことが大切とされています。
7.障害年金申請のポイント
「間接型」で脱臼をくり返し歩行困難等により日常生活の多くの動作が困難な状態にある場合には「肢体の障害」で、血管や内臓に影響が出ている場合は「血液・造血器」や「内臓疾患」で申請します。どのような影響が出ているかで診断書を選択していきます。
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