最終更新日: 2025-12-21 社会保険労務士 遠藤 隆
1.多発性硬化症/視神経脊髄炎とは
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系に生じる脱髄疾患の一つで、脳や脊髄の神経線維を覆う髄鞘が炎症によって障害される病気です。髄鞘が失われることで神経の電気信号がうまく伝わらなくなり、さまざまな神経症状が出現します。脱髄病変が中枢神経の各所に斑状に生じ、再発と寛解を繰り返すのが特徴です。一方、かつて視神経脊髄型MSと呼ばれていた疾患の多くが、アクアポリン4(AQP4)抗体の発見により、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)として区別されるようになりました。NMOSDは視神経や脊髄を中心に重い炎症を起こし、脳病変を伴う場合もあります。
2.どのくらいの患者さんがいるのですか
MSは欧米白人に多く、高緯度地域で有病率が高いことが知られています。日本では比較的まれとされてきましたが、近年の調査では有病率は人口10万人あたり14~18人と推定され、約1万7千人の患者がいると考えられています。環境因子として、ウイルス感染、日照時間やビタミンD、喫煙などが関与すると考えられています。NMOSDの患者数は全国で約6,500人とされ、MSより頻度は低いものの、決して稀ではありません。
3.病気の原因はなんですか
MSは若年成人に多く、平均発症年齢は30歳前後で、女性に多いのが特徴です。一方、NMOSDは比較的高齢でも発症し、女性の割合が非常に高い疾患です。原因はいずれも明確ではありませんが、MSでは自己免疫反応によりリンパ球が脳や脊髄を攻撃することが重要と考えられています。NMOSDではAQP4抗体が病態に深く関与し、一部ではMOG抗体陽性例も報告されています。これらの疾患は遺伝病ではありませんが、発症しやすさに関わる体質が遺伝する可能性はあります。
4.どのような症状ですか
症状は病変の部位によって多彩で、視力低下や視野障害、複視、しびれ、運動麻痺、歩行障害、排尿・排便障害などがみられます。体温上昇で症状が悪化するウートフ現象も特徴的です。一般にNMOSDの再発はMSより重篤になりやすく、視力障害や脊髄障害が強く残ることがあります。
診断にはMRIが最も重要で、脱髄病変の分布や活動性を評価します。加えて髄液検査や誘発電位検査、NMOSDではAQP4抗体検査が行われます。
5.どのような治療法がありますか
治療は急性期にはステロイド大量療法や血漿浄化療法を行い、MSでは再発予防薬、NMOSDでは免疫抑制薬や抗体製剤による長期治療が必要です。
6.注意点はありますか
日常生活では過労や感染を避け、病状や治療内容に応じた生活管理を行うことが重要です。
7.障害年金申請のポイント
日常生活動作に影響が大きい場合は肢体障害で手続きを進めていきます。認知機能に影響が出ている場合は高次脳機能障害で、目や耳に障害が出ている場合は視覚障害や聴覚障害も検討に入れます。
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