最終更新日: 2025-12-21 社会保険労務士 遠藤 隆
1.ミトコンドリア病とは
ミトコンドリアは全身のほぼすべての細胞に存在し、生命活動に必要なエネルギーを産生する重要な役割を担っています。ミトコンドリアのはたらきが低下すると細胞の活動が障害され、脳では認知や感覚、運動機能の低下が起こり、心臓では循環機能の低下、筋肉では筋力低下や疲れやすさなどが生じます。このように、ミトコンドリア機能障害を原因として発症する病気の総称がミトコンドリア病です。多くは生まれつき遺伝子変異を有することで発症しますが、薬剤などによる二次的な機能低下が原因となる場合もあります。
2.どのくらいの患者さんがいるのですか
患者数は海外の統計では人口10万人あたり9〜16人とされていますが、症状が非常に多彩で軽症の方も多いため、診断されていない患者さんが相当数存在すると考えられています。発症年齢は新生児から高齢者まで幅広く、男女差はほとんどありません。原因としては遺伝子変異が大部分を占めており、ミトコンドリア機能に関わる遺伝子は約1500種類あると推定されています。そのうち400種類以上が、すでに病気との関連が明らかになっています。遺伝子は核DNA上のものとミトコンドリアDNA上のものに分かれており、両者の変異が病気に関与します。
3.原因は何ですか
ミトコンドリアDNAは母親からのみ受け継がれるため、ミトコンドリアDNAの変異による病気は母系遺伝となります。ただし、細胞内で変異したミトコンドリアDNAの割合が一定以上に高くならなければ発症しません。そのため、母親が発症していても子どもが必ず発症するとは限らず、逆に母親に症状がなくても子どもが発症する場合があります。このように遺伝形式が複雑であることから、遺伝カウンセリングが重要とされています。

4.どのような症状ですか
症状は、神経、筋肉、心臓などエネルギー消費の多い臓器に現れやすく、けいれん、脳卒中様発作、精神症状、視力や聴力の障害、筋力低下、内臓機能障害など、極めて多彩です。年齢や症状の組み合わせに一定の型がないことが大きな特徴です。
5.どのような治療法がありますか
治療は、現在現れている症状に対する対症療法と、ミトコンドリア機能そのものの改善を目指す治療の二本柱で行われます。糖尿病やけいれんなどには、それぞれの標準治療を行い、臓器ごとに専門的な管理が必要となります。加えて、栄養素やビタミンの補充などの治療も試みられていますが、基本となるのはバランスの良い食事です。近年は新薬の研究も進み、特定の病型に対する薬剤が保険適用となっています。
6.注意点はありますか
病気の経過は急性から慢性までさまざまで、改善する場合もあれば進行する場合もあり、将来の予測は困難です。日常生活では、十分な睡眠、規則正しい生活、適切な栄養管理、感染予防が重要であり、ミトコンドリアに負担をかけない生活を心がけることが求められます。
7/障害年金申請のポイント
ミトコンドリア病によってマヒ、高次脳機能障害、内臓疾患など様々な障害が現れますが、各障害の程度を見極め、適切な診断書を選択する必要があります。
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